第四章
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「それで」
「あっ、そういえばね」
「あの娘いないわね」
「ってことはまさか」
「まだ」
ここでだ、そのことに気付いてだった。全員で水風呂から出て。
サウナ室に入った、するとまだサウナ室で頑張っているリンダがいた。その彼女に対してだ。
友人達は呆れてだ、こう彼女に言った。
「ちょっと、出ないの?」
「もう勝負はついたのに」
「あんたの勝ちよ」
「それでも続けるの?」
「もう終わったのね」
必死に堪えている顔でだ、リンダは友人達に応えた。
「なら私の勝ちね」
「だって残ってるのあんただけじゃない」
「それで何で勝ちじゃないのよ」
「それともちゃんと勝ったって言わなかったから?」
「それでなの」
「勝ちと認められなければ」
それならとだ、リンダは実際に答えた。
「勝利はならないわよね」
「それ果し合いだから」
「スポーツの勝負だから」
「別にそこまではね」
「私達も言わないわよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「あんたの勝ちだから」
今ここでようやくだ、友人達はリンダに告げた。
「この勝負もね」
「あんたの勝ちよ」
「負けたわ、本当に」
「今回もね」
「それなら」
リンダは彼女達の言葉を受けてようやくだった、立ち上がって。
そうして部屋を出て水風呂に入って身体を冷やした。友人達はそのリンダと共に水風呂に入りながら彼女に言った。
「負けず嫌いっていうか何ていうか」
「リンダって手強いわね」
「何でも勝負ならよね」
「勝たないと気が済まないのね」
「さもないと名が廃るわ」
リンダは水風呂の中でこれまで極限まで熱くなっていた身体が冷えていくのを感じつつ答えた。
「我が家のね」
「やれやれ、本当にお嬢様ね」
「お嬢様は強いわ」
「それでいて律儀だし」
「勝ったって言われないと止めないなんて」
「自分で勝ったと思ってもそうではないこともあるわ」
それで、というのだ。
「だからなのよ」
「最後の最後までなのね」
「リンダはやるのね」
「勝ったって言われるまで」
「それまでは」
「そうなの、何はともあれ今回も勝てて」
それで、とだ。リンダはその満足している顔で言っていく。
「よかったわ」
「本当に。今回も負けたわ」
「完敗よ、あんたにね」
友人達はそのリンダにやれやれといった顔で応えた、そのうえで彼女と共に水風呂で熱くなった身体を冷やし。それからは普通にリンダと共に風呂を楽しんだ。
お嬢様は手強い!? 完
2014・9・27
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