第1部 ゼロの使い魔
第5章 使い魔の1日
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だった。
『固定化』をかけられた物質には『錬金』の呪文も効力を失う。
呪文をかけたメイジが、『固定化』をかけたメイジの実力を上回れば、その限りではないが。
しかし、この鉄の扉に『固定化』の呪文をかけたメイジは、相当強力なメイジであるようだった。
『土』系統のエキスパートである、ミス・ロングビルの『錬金』を受け付けないのだから。
ミス・ロングビルは、かけたメガネを持ち上げ、扉を見つめていた。
(この中に破壊の剣が…)
ミス・ロングビルが心の中でそう言ったそのとき、階段を上ってくる足音に気づく。
杖を折りたたみ、ポケットにしまった。
現れたのは、コルベールだった。
「おや、ミス・ロングビル。ここでなにを?」
コルベールは、間の抜けた声で尋ねた。
ミス・ロングビルは愛想のいい笑みを浮かべた。
「ミスタ・コルベール。宝物庫の目録を作っているのですが……」
「はあ、それは大変だ。1つ1つ見て回るだけで、1日がかりですよ。何せここにはお宝、ガラクタひっくるめて、所狭しと並んでいますからな」
「でしょうね」
「オールド・オスマンに鍵を借りたらどうですか?」
ミス・ロングビルは微笑んだ。
「それが……。ご就寝中なのです。まあ、目録作成は急ぎの仕事ではないし……」
「なるほど…。あのジジイ、じゃなかったオールド・オスマンは、寝ると起きませんからね。では、僕も後で伺うとしましょう」
ミスタ・コルベールは歩き出した。
そして、コルベールはミス・ロングビルの気を惹こうと自らの知識を披露するかのように言った。
「実はこの宝物庫…魔法に対しての防御力は高いですが、弱点が1つあると思うのですよ」
ミス・ロングビルは驚いた顔をした。
「まあ、興味深いお話ですわ」
「それは、物理的な力です」
「物理的な力?」
「そうですとも!例えば、巨大なゴーレムが壁を殴るとか…」
「巨大なゴーレムが?」
「ええ…あ…」
コルベールが何かを思い出したかのように言った。
「もう1つ弱点がありました」
「何ですか?」
コルベールは少し間をとって言った。
「ウルキオラ殿ならいとも簡単に破壊できてしまうでしょうな〜」
「あっ…」
ミス・ロングビルは気付いたかのように呟いた。
ウルキオラの虚閃ならば、宝物庫の扉や壁どころか中に入っているものまで破壊するだろう。
ミス・ロングビルは満足げに微笑んだ。
「大変興味深いお話でしたわ。ミスタ・コルベール」
「いやはや、それは良かった…」
ミスタ・コルベールがそう言うとミス・ロングビルはミスタ・コルベールに「では」と言い、去って行っ
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