第1部 ゼロの使い魔
第5章 使い魔の1日
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と、授業を終えた生徒が教室から出てくる。
ウルキオラの力を目の当たりにした生徒たちは、どこかウルキオラを警戒している様子だ。
そして、ルイズの後を歩き次の授業を行う教室に向かう。
教室前に着くと、ウルキオラをじっと睨んでいる赤い影があった。
キュルケのサラマンダーである。
床に腹ばいになり、廊下の壁にもたれかかるウルキオラをじっと見つめている。
ウルキオラはそれに気づいた。
「お前はキュルケのサラマンダーか。名は確か…フレイムだったか?」
ウルキオラがそう言うと、サラマンダーは尻尾を振って、口からわずかに炎を吹き上げ、主人の後を追うように教室に姿を消した。
(俺に興味でもあるのか?)
ウルキオラは疑問に思った。
ウルキオラがルイズの授業終了を待っている頃、学院長室で、秘書のミス・ロングビルは書き物をしていた。
ミス・ロングビルは手を止めるとオスマン氏の方を見つめた。
オスマン氏は、セコイアの机に伏せて居眠りをしている。
ミス・ロングビルは薄く笑った。
誰にも見せたことのない笑みである。
それから立ち上がる。
低い声で『サイレント』の呪文を唱える。
オスマン氏を起こさないように、自分の足音を消して学院長室を出た。
ミス・ロングビルが向かった先は、学院長室の一階下にある、宝物庫がある階である。
階段を降りて、鉄の巨大な扉を見上げる。
扉には、ぶっとい閂がかかっている。
閂はこれまた巨大な錠前で守られている。
ここには、魔法学院成立以来の秘宝が収められているのだ。
ミス・ロングビルは、慎重にあたりを見回すと、ポケットから杖を取り出した。
鉛筆ぐらいの長さだが、くいっとミス・ロングビルが手首を振ると、するすると杖は伸びて、オーケストラの指揮者が振っている、指揮棒ぐらいの長さになった。
ミス・ロングビルは低く呪文を唱えた。
詠唱が完成したあと、杖を錠前に向けて振った。
しかし……、錠前からは何の音もしない。
「まあ、ここの錠前に『アン・ロック』が通用するとは思えないけどね」
くすっと妖艶に笑うと、ミス・ロングビルは、自分の得意な呪文を唱え始めた。
それは『錬金』の呪文であった。
朗々と呪文を唱え、分厚い鉄のドアに向かって、杖を振る。
魔法は扉に届いたが……。
しばらく待っても変わったところは見られない。
「スクウェアクラスのメイジが、『固定化』の呪文をかけているみたいね」
ミス・ロングビルは呟いた。『固定化』の呪文は、物質の酸化や腐敗を防ぐ呪文である。
これをかけられた物質は、あらゆる化学反応から保護され、そのままの姿を永遠に保ち続けるの
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