第1部 ゼロの使い魔
第5章 使い魔の1日
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「やい、『我らの勇者』。俺はお前がますます好きになったぞ。どうしてくれる」
「知ったことか」
ウルキオラの本心である。
しかし、マルトー親父は、それを謙遜と受け取っている。
ウルキオラは可笑しな人間だなと思う。
ウルキオラは左手のルーンを見つめた。
実はあの日、虚閃を放ったとき、ルーンが光ったのだ。
虚閃はウルキオラが予想していた力を超えていた。
あれは……とウルキオラがぼんやり自分のルーンを見つめていても、マルトー親父はそれを達人の控えめ、と受け取ってしまうのだ。
マルトー親父は、シエスタの方を向いた。
「シエスタ!」
「はい!」
そんな2人の様子をニコニコしながら見守っていた気のいいシエスタが、元気よく返事を返す。
「我らの勇者に、アルビオンの古いのを注いでやれ」
シエスタは満面の笑みになると、ぶどう酒の棚から言われたとおりのヴィンテージを取り出してきて、持ってきたグラスに注いだ。
無表情でぶどう酒を飲むウルキオラを、シエスタはうっとりとした面持ちで見つめている。
こんなことが毎回繰り返される。
ウルキオラが厨房を訪れるたびに、マルトー親父はますますウルキオラのことを好きになり、シエスタはウルキオラのことを尊敬するのであった。
そして、その日は、そんなウルキオラを厨房の外から覗き込む赤い影があった。
若いコックが窓の外にいる影に気づいた。
「おや、窓の外に何かいるぞ」
赤い影は、きゅるきゅると鳴くと、消えていった。
さて、ウルキオラは厨房を後にすると、ルイズの授業のお供を務める。
初めはずっと立っていたウルキオラを見向きもしなかったルイズだが、ウルキオラがギーシュを圧倒してからは椅子に座るように促す。
しかし、ウルキオラは気にするなと言い、座ることはない。
また、今まではルイズをバカにしていた生徒もウルキオラが居ると何も言わない。
そのため、最近ルイズは機嫌がいい。
ウルキオラも初めのうちは、水からワインを作る授業や、秘薬を調合して特殊なポーションを作り出す講義に興味を持っていたが、慣れると飽きた。
そのうちに、興味がない授業は外で待つようになった。
教師としては注意すべきところだが、使い魔が授業に出なければならないという校則はない。
それ以上に、ウルキオラに注意のできる教師などいるはずもない。
その日の授業もウルキオラは外で待って居た。
すると、ウルキオラが授業に出なくなったことでルイズをバカにする生徒がちらほら出始めた。
そのため、ルイズはウルキオラに毎日のように授業に出るように言うがウルキオラは聞かない。
しばらくする
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