第10話〜とある美術部員の一日〜
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害は残っていないだろう。
ベアトリクスからのお墨付きももらったので安堵してケインのベッドに近い椅子に腰かけるラウラ。リィン、アリサ、ガイウスは学院長に一旦調査の報告をしに行き、アレスとラウラで看病をすることになった。が、ケインが目を覚ますのにさほど時間はかからなかった。
「・・・おはよう、二人とも」
「うむ。もう夕刻ではあるが」
「・・・っ・・・!」
「ちょ、ラウラ!?」
前方から突然抱きつかれたケインは驚きの声を上げてとぎまぎしているが、ラウラは離れるつもりがないようだ。
「心配、したのだぞ。そなたが、死んでしまうのではないかと思うと、私は・・・」
嗚咽交じりの震えた声を出すラウラに、ケインはどうしたものか困っているように見えるが、彼女の頭を撫で始めた。
「・・・すまない。でも、君は必ず守ってみせるって約束したからな」
「それは、ケルディックの時だけではないのか?」
「そんなわけないだろ。まぁ、防御が間に合わなかったのは俺の落ち度だからさ。
次からは気をつけるよ」
「ケイン・・・謝るのは私の方だ。私が、もっと上手く動けていれば・・・!」
自身が地に足を取られていなければケインが怪我をしなかったと自責の念に駆られるラウラだが、「平気だよ。あの場合はどうしようもなかったんだ」と彼に慰められて気分も落ち着いたように見える。
「その、俺たちってもしかして邪魔なのか?」
「ええ、そうみたいだけど・・・ラウラも意外と大胆じゃない」
「フフ、どうやら良い風が吹いたようだな」
報告から帰って返って来たリィン達は、保健室の光景を見て口々に感想を漏らす。
客観的に判断すれば、ベッドで半身を起こしたケインにラウラが抱きついている状態だ。
ベアトリクスも含め、全員の視線を一身に受けたラウラは状況を理解したのか、フィーに勝るとも劣らない俊敏な動きでケインから身を離す。
「こ、これはその、とにかく違うのだ!ええい、即刻忘れるがよい!!」
必死に弁解まがいの事を早口に捲し立てるが、全員に温かい目を向けられている。恥ずかしさに頬を赤く染めるラウラは言うまでもなく、ケインまで頬が赤いのは夕焼けのせいなのだろうと取り留めのない事を、アレスは考えていた。
その後、ケインを含めた全員がベアトリクスにお礼を言い、保健室を後にする。
夕飯を食べる頃合いのようなので、6人で自炊をしようということになり、談笑しながら校門を出ようとしたところでサラ教官が誰かと話しているのを発見した。
艶やかな黄緑色の髪をセミロングにし、前方ではねる長めの淡い青髪が印象的の女子生徒だ。紅い制服を着ているが、Z組にはいなかったはずだ。全員がそう思うのは当然で状況を確かめるべく教官に話しかけようとしたが、
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