第10話〜とある美術部員の一日〜
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を片付けたケインに内心驚愕するが、今度は二手に分かれて各個撃破を図る。扉の羽を使って低空飛行で滑空してきた魔獣をケインが剣で受け流し、バランスが崩れたところにアレス大剣による振り下ろしとアリサの弓による射撃が命中する。
「はあぁぁ・・・失せろッ!!」
ケインが篭手による暗黒の拳を振り下ろし、闇に飲み込まれるかのように魔獣は消滅した。リィンたちには後方支援者こそいなかったものの、リンクを駆使して魔獣を倒したようだ。これで二層をクリアしたように思われ、全員が安堵していたが、突然の地響きとともに中央から白銀のチョウ型魔獣が具現する。何とか踏みとどまる一同だが、行動が抑制されたことによって相手からの先手を許してしまった。鮮血のように赤い複眼に光が集まっていく。魔獣の眼に捉えられいるのは、ラウラだった。
「くっ・・・」
「させるかッ!」
いち早く体勢を立て直したケインがラウラを横に押し退け、彼女が受けるはずだった光線を肩に受ける。苦痛に顔を歪めるケインだがそれもほんの一瞬で、反撃の一閃を魔獣の複眼に浴びせた。それに続いたラウラが腹部に水平斬りをお見舞いし、アレスも同じ部位に大剣を振り下ろす。さすがに怒りを覚えたのか、大きな羽を羽ばたかせようとするが、アリサの援護射撃が片方の羽を貫いた。確実なダメージを負い、怯んだところにリィンの一太刀とガイウスの一突きが腹部へと叩き込まれる。ケインの早撃ちがもう一方の羽を貫き、空中を彷徨う魔獣にアレスが止めの一撃を繰り出し、銀色の鱗粉を漂わせながら消滅した。今度こそ本当に終わったようで静寂があたりを包み、地響く気配はない。
「ケイン!そなたは無事なのか!?」
「平気だよ。それより、ラウラこそ・・・あ、れ?」
「・・・ケイン?」
「そ、うだったのか・・・まさか、慢性の・・・しくじった、な・・・」
ケインは何かに気づいたかのように目を見開いたが、その後力尽きるように地に伏せてしまった。顔色が青くなっているようだ。肩で呼吸をしている。
「ケイン!しっかりするがよい!!」
「これは・・・おそらく毒か。早急にベアトリクス教官の元へ向かうとしよう!」
その後、アレスがケインを背負って一同は旧校舎を出て、本校舎一階の保健室へと急行した。保健室へ駆け込んだアレスがべアトリクスに事情を簡潔に説明すると、ケインの為に快くベッドを貸し、次いで解毒措置を施してくれた。心配そうな面持ちで眠っている彼をを見つめるラウラに声をかけるべきか逡巡していたが、ベアトリクスが口を開く。
「幸い、急性毒では無かったため体の毒は完全に取り除けました。
暫く安静にしていれば目を覚ますはずですよ」
「・・・お気遣い、痛み入ります」
規則正しく穏やかな呼吸を繰り返しているので、体にもう
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