第10話〜とある美術部員の一日〜
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名が財産や権力にはなっても実力にはならない。
マキアスが努力をして入試で次席の成績を獲得したように、彼らも等しく努力を重ねているはずだ。 貴族であろうがなかろうが、それは変わらない。ユーシスの実力も、貴公はとうに認めているのだろう?」
「・・・まぁ、そうだが」
「平民も貴族も関係はない。貴公には貴公の、ユーシスにはユーシスの事情があろう。
彼の事を、まずは一人の人間として見るのが大切ではないか?」
「そ、それは・・・」
確かにユーシスの傲岸不遜な態度を不快に思うかもしれない。しかし、マキアスは貴族を、頭根っこから否定して彼の人間性を見ることは殆どなかったのではないか。そう思っていたアレスは、俯き加減で考え込むマキアスに語りかける。
「何も貴公を責めるつもりはない。しかし、ユーシスは四大名門の子息だ。
家名の誇りを維持するためにはあのような振る舞いをしなければならない“しがらみ”
があるのではないか?」
「・・・あの男だけは、どうにも認められないが」
「少しずつでいい。マキアスは私を受け入れてくれたではないか。
貴公は、相手が貴族かどうかで人の善し悪しを判断する人間ではないはずだ」
「・・・あ・・・・・・」
レンズの奥で目を丸くしたマキアスは、何かに気付いたようにアレスにお礼を言う。
「まぁ、マキアスも生真面目だからな」
「・・・どこか含みのある言い方だな」
「そうかな?でも、辛い思いをしているのは友人として分かっているつもりだからさ。
できるだけ君の力になりたいし、あまり一人で抱え込まないで頼ってくれよ」
マキアスを茶化しているのか、肩をすくめて嘆息混じりにコメントするケインだが、
柔和な顔になってそんな事も口にした。
「ま、まったく、君というやつは・・・最高の友人じゃないか」
「ありがとう。けど、それは俺だって同じだよ、マキアス」
「ケイン・・・ありがとう。そうだ、アレス。昼食はまだ取っていないか?」
「取っていないが・・・」
「そうか。二人とも、ここはひとつ奢らせてくれ。相談に乗ってもらったお礼だ。
ここのパスタ、なかなかイケるんだぞ!」
その後、妙に上機嫌なマキアスと共に3人でパスタを食し、暫しの談笑の後、アレスはカフェを後にした。そして雑貨屋で用を足した彼が、これからどう過ごすか考えあぐねていたところでアークスに通信が入る。
「アレス、今大丈夫か?」
「私は構わないが、どうかしたのか?」
「実は・・・」
入ったのはリィンからの通信であり、学院長の要請で内部構造が変化するという奇妙な旧校舎を定期的に調査することになっているらしい。これからの予定は特に無かったため、願ってもない申し出だ。来
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