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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第四話  燃え上がる夜
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 ロングビルに引っ張られて着いた先は、ロングビルの部屋であった。
 部屋のドアを閉じたロングビルは、やっとそこで士郎の耳を離すと、耳を開放された士郎が解放された耳を抑えながら、恨めしげな視線をロングビルに向ける。
 
「っ……耳がちぎられるかと思ったぞ。少しは手加減してくれ」
「ふんっ……メイドに変な格好をさせるだけじゃなく、腹の上に乗せて喜ぶ変態に手加減するどうりはないね」

 部屋の中央まで歩いたロングビルが、振り向きながら士郎を睨みつける。

「はぁ……。まあ、いいか」

 睨みつけてくるロングビルの視線から顔を逸らしながら頭を掻いた士郎は、一度頭を振って気分を入れ替えた。

「しかし、俺があそこにいるってよく分かったな?」
「ああ、マルトーに聞いたんだよ」
「マルトーに?」

 未だ睨みつけてくるロングビルに苦笑を浮かべ、話しかける士郎。
 
「で、俺をこんなところまで連れてきた理由は何だ?」
「ん……ま、まあ、あれだ」

 急に顔を赤くしたロングビルは、顔を俯かせるともじもじと身体を揺らし出した。
 不審に思った士郎がロングビルに近寄ろうとすると、伏せていた顔を勢い良く起こしたロングビルが、背後の用意されていたテーブルの上の料理を親指で示した。

「ゆっ、夕食はまだなんだろう。い、一緒にどう、だい?」

 赤く染まった頬をヒクつかせながらも、必死な様子で食事を誘ってくるロングビルの様子を微笑ましく感じた士郎は、吹き出しそうになる口を片手でさりげなく隠しながら頷いた。

「ああ、ご馳走になろう」





 カチャカチャとナイフとフォークが皿に触れる音が響く中、士郎とロングビルの間では話しに花が咲いていた。
 向かい合う様に座った士郎とロングビルであったが、ロングビルの格好は、士郎を引っ張っていた時とは違っていた。
 士郎が食事を了承すると、ロングビルは一旦士郎を部屋から追い出すと、用意していたドレスに着替えたのだ。そのドレスは、以前士郎が投影で作成したドレスであった。
 
「しかし、シロウがこんなにテーブルマナーに詳しいとは知らなかったね」
「ん? ああ、昔俺がとある貴族の執事をしていた頃にな、叩き込まれたんだ。まあ、こことは色々違うとこの貴族だったから、テーブルマナーに変なところがあっても目を瞑ってくれ」
「は? シロウが執事? ……あんた色々やってたんだねぇ……」

 ロングビルが呆れた様な顔を向けると、苦虫を数匹噛み潰した様な顔を手で覆った士郎がいた。
 士郎の様子に、執事時代は士郎の暗黒時代だと察したロングビルは、言葉を濁すと話しを逸らした。 

「ま、まあ、人生色々あるもんだ。若い時には盗んだ馬で走り出したり、勢いで盗賊になったり……ま、まあそれは置
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