虚無-ゼロ-part1/目覚めの時
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が目立ちながらもなんと有能なことか。平民なのにギーシュを圧倒し、異世界の武器を軽々とつかって怪獣さえも相手にし、幾度も自分たちに危機を救った、異世界の少年。彼と比べても何もできない自分が嫌だった。ただこの闇の空間と、ファウストをはじめとした人類の敵に恐怖を覚えることしかできない自分が嫌だった。
嫌だ、このまま…本当に何もない『ゼロ』のまま終わりたくはない!
私だって…サイトがそうしたように、みんなのために戦いたいんだから!
―――――その時だった。
彼女の持っている水のルビーと、手に持っていた古書が青く光り始めた。まるで、彼女の思いに何かが応えたように。
ルイズは古書を開く。そこには、真っ白だったはずの古書の中に、古代のルーン文字の文章が光り輝く文字で書かれていたのだ。古代文字の授業もトップだったルイズには面白いほど買い得ができた。
『序文
これより我が知りし心理をこの書に記す。
神は我に四系統にも属さぬ強大な力を与えられた。
四にあらざれば零。我は神が与えられし零を「虚無」と名づけん。
この祈祷書を読める者は我の行いと理想と目標を受け継ぐ選ばれし者…虚無の力を担いし者なり。
詠唱者は注意せよ。強力な虚無は時として命を削る。
以下に我が扱いし虚無の呪文を記す。
ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ
以下に我が扱いし“虚無”の呪文を記す
初歩の初歩の初歩
エクスプロージョン』
ルイズは茫然となった。白紙だったはずの古書に刻まれた古代ルーン文字。そして自分この文の通りなら、自分はもしや…?これまで自分の魔法が、詠唱するたびに爆発するだけだったのを思い出す。なぜ、思った通りの魔法が発動せず、爆発しか起こらなかったのだろうか。両親も姉たちも、誰も疑問に思わなかった。失敗と笑うなり叱るなり、それだけでずっと片付けられていた。
今、わかった。自分がこれまで四系統魔法もコモンマジックもろくに使えなかったのは。
私が、虚無の担い手だったから…!
そう思った瞬間、ルイズの目から光が消えた。古書から光の文字が飛び込んでいき、まるで何かに憑依されたように、彼女は頭の中に流れ込んでいく呪文を口に出していった。
―――エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ
「ミス・ヴァリエール?どうしたんです?」
「いったいどうしたのだ?ミス・ヴァリエール」
二人がルイズの異変に気付いたが、二人のことがまるで見えてないのか、ルイズは詠唱を続けていった。ふと、コルベールはルイズの詠唱を聞いて気が付く。彼女の詠唱…これまで一度たりとも聞いたことのないものだった。どの系統にも属さない…。
(…系統に属さない?…まさか!?)
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