虚無-ゼロ-part1/目覚めの時
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―――オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド
「グウ…!!」
サドラとシルバーブルーメの呪縛から逃げ切れないレオ。彼の呪縛を解こうと、グリフォン隊が必死にシルバーブルーメの触手とサドラの伸びきった腕を切り落とそうとしたが、傷がほんのちょいと入るだけで効果がない。
「くそ、だめだ!全く効かない!!」
考えてみればこれはこれで当然かもしれない。もし自分たちの魔法でどうにかできる程度なら、彼らウルトラマンは苦労などしていないはず。でも、何もしないままなのは貴族として誇りが許せなかった。
しかし、ルイズの詠唱は…ゼロとネクサス、二人のウルトラマンにある影響を与えた。彼女の詠唱が、距離を置いているはずなのにはっきりと聞こえてくるのだ。
(な、なんだ…ルイズの声なのか?)
ゼロは息を弾ませながら、ジャンボットの〈必殺・風車〉で予想以上の傷が出来上がったテクターギアの胸部を押さえながら遠くを見つめた。
(なんでだろう…)
ゼロとともに、彼の中で詠唱を聞いていたサイトも、ルイズの詠唱を聞いて懐かしさを覚えていた。
(まるで、ティファニアがあの時歌っていた、歌のようだ)
ネクサス…シュウはルイズの詠唱を聞き、ウエストウッド村でティファニアが以前自分の前で歌ってくれたあの歌のことを思い出す。歌い手の声と姿もそうだが、ハープの心洗われる旋律と歌そのものにも独特の美しさを感じずにはいられなかった。
ふと、ネクサスは自分の胸の、エナジーコアの上に刻み込まれていたルーンを見る。ゼロもそれに気が付くと、自分の左手の甲にガンダールヴのルーンが浮かび上がり、これまでにないほど自分たちのルーンが赤く、青く輝いていた。
(俺たちのルーンが、光っている…!)
「何をよそ見している!」
ファウストの声が聞こえてきた。空中飛び蹴りを放ってきたファウストに対し、ネクサスとゼロは直ちに反対方向へ回避した。
その時、ゼロのテクターギアからプシューッと煙が吹いた。
「そろそろ、楽にしてやる!」
ファウストの両腕が重なり、スパークする。ファウストの最強の技必殺光線の構えだ。ネクサスもそれを見て、両腕をスパークさせると、十字型に両腕を組む。今のダメージの残る体で、果たして奴の光線を跳ね返せるだろうか?
―――ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ
感じる。自分の体の中で波が生まれ、リズムがめぐっているのを感じた。初体験のことなのに、不思議と懐かしい気持ちが沸き起こる。あたりで誰かの声が聞こえてくるのだが、神経が研ぎ澄まされている今は何も聞こえていない。
歯体の中で何かが生まれ、行き先を求めて回転していく。自分の系統を唱えるとそんな感じがすると、誰かが言っていた。
それが、今のこの感覚なのだろうか。
―――ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イ
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