暁 〜小説投稿サイト〜
ZIGZAGセブンティーン
第四章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第四章

 お互いに疲れてしまってだ。肩で息をするようになった。そこで、だった。
「まあそういうことだな」
「そうね」
 親父さんとお袋さんが優しい声で俺達に言ってきた。
「御前等そのままいけ」
「仲良くしなさい」
「仲良くって」
「何処がなのよ」
 俺達は親父さん達に同時に顔を向けて反論した。
「俺達って何かあったら本当に」
「言い合ってるけれど」
「喧嘩する程ってやつだ」
「そういうことよ」
 しかし二人のことばはこんな調子だった。
「そうやってお互いを見ているからな」
「そうなるのよ」
「そうか?」
「そうなの?」
 これまた二人同時に声をあげた。
「俺達ってそうなのか」
「喧嘩ばかりしてるのに」
「まあそれがわかるのはな」
「大人になってからだけれどね」
 今じゃないというのだった。十七歳の今じゃないってことだった。
「まあ今は盛大に喧嘩しろ」
「お互いがよくわかるし」
「盛大にかよ」
「していいの」
「俺達だってそうだったしな」
 親父さんが満面の笑顔で言ってきた。
「それはな」
「そうよ。結婚する前はね」
「だったよな」
 親父さんは今度はお袋さんの言葉にその笑顔で返した。俺が知っている限りこの二人はいつも仲がいい。息もぴったり合っている。
 けれどそれがだ。昔は違うという。俺はそれがぴんとこなかった。
 しかしだった。二人はさらに話をするのだった。
「それでお互いわかったからな」
「そうした喧嘩はするものよ」
「そうしたか」
「喧嘩していいの」
「そうだ、今はぶつかれ」
「どんどんね」
 親父さんとお袋さんはまた俺達に言う。
「それで幸せになれよ」
「いいわね」
「何かよくわからないけれど」
「応援してくれるの」
「ああ、そうだ」
「その通りよ」 
 また笑顔で返す二人だった。
「それじゃあな」
「今は仲良く喧嘩しなさい」
 俺達に言うことはそのことだった。とりあえず俺達の仲は十七の時はそんなのだった。
 その十七だ。高校生活三年目、卒業が近付いてきていた。
 俺はだ。ある時彼女にそのことを尋ねられた。学校の帰りに二人で喫茶店に入ってだ。そこで声をかけられたのだ。
「ねえ。卒業したらね」
「何だよ、卒業したらって」
「あんたどうするのよ」
 こう俺に尋ねてきた。バナナジュースを飲みながら。俺は俺でホットコーヒーを飲んでいる。格好つけてそれを飲んでいた。
 その俺にだ。尋ねてきたのだった。その尋ねてきたことは。
「大学行くの?」
「そんな訳ないだろ」
 俺はそれはすぐに否定した。
「俺の頭で大学とかないだろ」
「そうよね。じゃあ就職よね」
「ああ、そうだ」
 その通りだと答える俺だった。
「スーパーに就職す
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ