第1部 ゼロの使い魔
第4章 伝説
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て、ボロボロと泣き始める。
「やはり、ミス・モンモランシーと……」
「彼らは誤解しているんだ。ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ……」
しかし、ケティと呼ばれた少女は、思いっきりギーシュの頬をひっぱたいた。
「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ!さようなら!」
ギーシュは、頬をさすった。
すると、遠くの席から一人、見事な巻き髪の女の子が立ち上がった。
厳しい顔つきで、かつかつとギーシュの席までやってきた。
「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ一緒に、ラ・ローシェルの森へ遠乗りをしただけで……」
ギーシュは、首を振りながら言った。
冷静な態度を装っていたが、冷や汗が一滴、額を伝わっていた。
「やっぱり、あの一年生に手を出していたのね?」
「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りで歪ませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」
モンモランシーは、テーブルに置かれたワインの瓶を掴むと、中身をどぼどぼとギーシュの頭の上からかけた。
そして……。
「うそつき!」
と怒鳴って去っていった。
沈黙が流れた。
ギーシュはハンカチを取り出すと、ゆっくりと顔を拭いた。
そして、首を振りながら芝居がかった仕草で言った。
「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
ウルキオラは一生やってろ、と思いながら歩き出した。
そんなウルキオラを、ギーシュが呼び止めた。
「待ちたまえ」
「なんだ?」
ギーシュは、椅子の上で体を回転させると、すさっ!と足を組んだ。
いちいち気障ったらしい仕草をする。
「君が軽率に、香水の瓶なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。」
ウルキオラは呆れた声で言った。
「二股をかけるお前が悪い」
ギーシュの友人が、どっと笑った。
「そのとおりだギーシュ!お前が悪い」
ギーシュの顔に、さっと赤みが差した。
「いいかい?使い魔君。僕は君が香水の瓶をテーブルに置いたとき、知らないフリをしたじゃないか。話を合わせるぐらいの機転があってもよいだろう?」
「なぜ俺がお前の話に合わせなければならない?」
「ふん…使い魔に貴族の機転を期待したぼくが間違っていた。行きたまえ」
「一生薔薇でもしゃぶっていることだな。下衆が」
ウルキオラがそう言うと、ギーシュの目が光った。
「どうやら、貴族に対する礼を知らないようだな」
「どうやら貴様は二股をかけていても、貴族を名乗れるらしい」
ウルキオラがそう言うと、ギーシュの友人たちが、ま
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