第三十三話 レベルアッパーというもの
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んのやりとりを佐天さんもちゃんと理解してくれていたようだ。
「うん、そういうこと。だからウチはレベルアッパー使われた後に、脳科学の論文だったり能力の演算に関する論文だったり、果てはAIM拡散力場の論文まで集めて過剰な電力が流れないように……って言うか、レベルアッパーによって無茶な演算をされないように対策したのよ」
取り敢えず佐天さんの理解も充分だと判断して、俺は締めくくりに入る。
「ちょっと論文を読んだくらいで対策できるって時点でかなりのものだと思うけどね」
「なんか、それが凄いのかどうかがよく分からないんですけど……」
俺がレベルアッパー対策をしたことに対して、呆れたような御坂さんとその部分をまだ理解できてない佐天さんはある意味対照的だった。
「まー、そこまでの例え話が分かれば、もし佐天さんが乾電池1本で光らせる豆電球だったとして、そこに乾電池を2本3本とつないでいったらどの位の時間持つかなっていう事よ」
「あー……そっかぁ」
佐天さんがレベルアッパーを使ったらどうなるかということを電球の例えで伝えてみたが、それで本人も充分に理解できたようである。
「一応言っとくけど、レベルアッパーが使われたウチ以外の子供たちは何人か倒れたみたい。意識不明の重体らしいわね」
「げっ、そっ……そうなんだ……」
最後に電球の容量をオーバーしたらどうなるのかも伝えておいた。恐らく佐天さんはネットからレベルアッパーを入手するはずなのだが、今回のことでその危険性を知ったわけだから、それでもレベルアッパーを使うとするなら、それだけの危険を冒してでもレベルを上げたい渇望があるということなのだろう。今後レベルアッパーを使うのかどうか、佐天さんから相談されればやめるようにアドバイスするつもりだが、そうでなければ佐天さんの判断に任せようと思っている。
「ねえ、皆で行こっか」
「へ?」
「ん?」
少し沈んだ雰囲気の中、唐突に御坂さんが話し出したのだが、佐天さんも俺も話についていけなかった。
「黒子に聞いたんだけどさ、明日は初春さんも非番でしょ。だから5人でどこか買い物でも行こっかって話」
御坂さんが本題を切り出す。内容から考えて、もう音響結界の必要はなさそうなので解除しておく。
「そうですねー、非番なら初春も来ると思うし」
「ってか、御坂さんが来るなら初春さんは間違いなく来ると思うけどねぇ。お嬢様大好きっ子だし」
初春さんのことを良く知る佐天さんの言葉に俺も続ける。初春さんなら喜んで来るだろう事が容易に想像できるのである。
「あ……あははは……」
自分がお嬢様らしくないということは本人も充分に分かっているようで、御坂さんは乾いた笑い声を上げていた。
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