志乃「番外編って言っても別に大したことないけどね」
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吐息を漏らし、俺は目の前で項垂れているバカ親父に聞いた。
「何で俺のエロDVD取ったんだよ。まさか教育に悪いとか言うんじゃないだろうな」
「そ、そんなつもりはない。その、あれだ」
今になって思うと、俺何で父さんにエロDVD取った理由とか聞いてんだろう。この風景、第三者には絶対見られたくないわ。ケンとか綾乃とかは尚更だ。あまりに滑稽すぎて自分でもバカに思えちゃうぐらいなんだからさ。
「ていうか今も持ってんの?アンタ、さっきは愛すべき妻がいるとか言っておいて……」
「違う違う!アレは俺が見たいがために盗んだんじゃない!」
「じゃあ、何であんな卑猥すぎるDVDを俺の部屋から盗んだんだよ。しかも、完全に位置把握してんじゃねぇか」
「それにも理由があってだな」
「ならそれも聞かせてもらおうか」
完全に場を支配している俺は余裕を持って父さんを追い詰めていく。それに反比例して父さんはどんどん身を縮めていき、声にも反抗する意思が薄れていた。これでは埒が明かないと思って、俺は「順序立てて、丁寧に説明してくれ」と言った。すると父さんは項垂れたまま頷き、最初に謝ってきた。
「伊月、お前の机から勝手にDVDを取り出してすまなかった。まず謝らせてくれ」
「……」
「次に今回の件の発端を話そう。きっかけは、会社の同僚と飲みに行った時だった……」
父さんは無意識なのか、俺のベッドに向かって歩き出し、座ったかと思うと遠い目をしながら語り始めた。
会社の同僚と居酒屋に行った父さんは、そこで『ストレス発散にはどうすればいいか』という議論を始めたらしい。そしてその議題について話している時に同僚の一人が「俺は週四で風呂場を俺色に染め上げているんだぜぇ!!」と大声で言ったそうだ。
それが話をさらに盛り上げる要因となってしまったらしく、周りの目を気にせぬまま汚らしい話を進めてしまったと、父さんは目をきつく閉じたまま話した。まず店員から首根っこ掴まれて追い出されなかっただけありがたく思うべきだな変態共よ。
「話はどんどんヒートアップしちゃって、最終的に追い出された」
「結局追い出されたのかよ!」
いや、判断としては正しいよな。
「その帰りに同僚が言うんだ。『葉山さんとこの息子さん、今の歳ならHな物持ってんじゃないの?』って。『なんなら今度、息子さんに借りて持ってきてよ。それオ●ズにするから』ってな」
その同僚の人、今なら竹刀で容赦なく頭ぶっ叩ける気がする。
「その後どういう会話したかは酔っ払ってて覚えてない。でも伊月の事は鮮明に覚えてたんだ。だから……」
「……父さんは俺のエロDVDを同僚の人に貸したってわけか」
「ああ、
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