志乃「番外編って言っても別に大したことないけどね」
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いて。つか、母さんを巻き込んだら絶対に面白がって確実に変な方向に引きずり回すだろ。それだけは勘弁だ。
陰鬱な感情を取り込んだかのように重い足を動かして階段を上り、一度部屋に戻る。次は誰に問うべきか。今家にいるのは父さん以外なので、妹か祖母の二択に狭められる。うわ、どっちも嫌なんだけど。
椅子に座って腕を組み、頭を捻る。どちらがより早く結論を出してくれるだろう。それは志乃だ。どちらが話しやすいだろう。それはばあちゃんだ。……ったく、マジでイライラしてきた。犯人見つけた竹刀で頭ぶっ叩いてやる。
そこで俺はもう考えるのが面倒になった。立ち上がり、ずかずかと階段を踏みながら一階にやって来る。そしてリビングの反対側にある玄関の手前で立ち止まった。そこは今度の敵の本拠地。何故だろう、普段よりもドアが大きく見えるぞ。
でも臆する事は出来ない。一分一秒でも早くこの事件を解決しなければ、いずれ俺は社会的に死ぬ事になるだろう。
次の相手はばあちゃんだ。とっとと終わらせてやる。
*****
ふふっ、さすが俺だ。ばあちゃんとの対決、五分で終わらせてやったぜ!何故か気分が高揚してしまい顔がニヤける。葉山伊月、やれば出来る男だ。数分前の出来事を思い出して、また笑ってしまう。
*****
数分前、鬼気とした表情で祖母の部屋に正面突入した俺だったが、中を見て拍子抜けしてしまった。
ばあちゃんの部屋は、色とりどりのカラーボックスで、文字通り『占拠』されていた。
テレビの置台はカラーボックス。お煎餅とお茶、急須の台もカラーボックス。本棚、机、椅子なども全てカラーボックスで賄われている。一番驚いたのは、
「な、何で布団がカラーボックスの上に敷かれてるんだよ……」
「少しでも『洋式のベッド風』にしようかと思ったんじゃよ、伊月もやってみぃ」
「洋風どころか貧乏くせぇ!」
絶対やらねぇよ!見るからに寝心地悪そうだな、おい。
そして会話を続けていた当の祖母はというと、頭に小型カラーボックスを乗せながら黄色いカラーボックスの改造を行っていた。眼鏡をかけ、右手にドリルのような物を持ち、自身の周りにも謎めいた機具を並べている。ばあちゃんを含めたその光景が、あまりにも常人離れしすぎていて逆に落ち着いてしまった。
だがその姿を一度意識すると、今度は話しかけるのが申し訳なくなってきた。しかし今は自分の問題を片づける方が優先だと言い聞かせる。どっちにしろカラーボックスの改造って無意味に近い気がするし。
「なぁ、ばあちゃん。最近二階に上がってきたりした?」
「二階?上がらんよ」
「じゃあ、俺の部屋には?」
「カラーボックスの無い伊月の部屋に、何の得があるっち
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