志乃「番外編って言っても別に大したことないけどね」
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雑誌で終わらせていた。これさえ思い出せればDVDを探す上で近道になると思っていたんだけど、やはりそう簡単には上手くいかない。やむを得ず俺は細かな室内捜査に乗り切った。
机に押入れ、本棚……ありとあらゆる場所を念入りに見て回ったのだが、やはりどこにもない。初めに自分を疑いはしたが、その可能性については一番無理がある気がしていた。『自分の事は自分が一番良く分かっている』。この言葉は一つの側面においてとんでもない力を発揮するのだ。その分、自分ですら分からない事を他人が知っていてイラつく場合もあるが。
とにかく、俺は物を定位置に置く習慣が付いている。こうして部屋の中を改めて調べると、そうした自分の特徴がよく分かった。
だとすれば。俺は思案する。考えたくもないが、俺自身に問題がなかった以上、そう結論を出さなくてはならない。
犯人は恐らく、家族の誰かだ。
「はぁ……」
あまりにもレベルの高いアタックを予想して重たい息を吐く。思い返して見てくれよ。相手は葉山家の皆さんだぜ?俺が余裕を持って臨める相手なんて変態加齢臭野郎な父さんだけじゃん。ぶっちゃけた話、俺も父さんもうちの家族の女性には頭が上がらないのだ。
再び溜息を吐く。春休みはもう少しで終わって、二度目の新しい学校生活が始まるってのに、俺は一体何をしてんだろう……。勉強しろよ畜生!
*****
「なあ、母さん」
「ん?なぁに?」
俺が最初に狙いを定めたのは、母さんだった。いや、最初はばあちゃんにしようかと思ったんだけど、ここは一番会話のキャッチボールが出来る人を先に消化してしまう事にした。そして先に言っちまうと、この人は犯人じゃない。何故なら……
「母さんさ、俺のエロDVDパクッた?」
「伊月のエロDVD?ああ、机の引き出しの奥に入ってる奴よね。男の子なら普通、誰が見ても絶対に分からないようなところに隠す、と見せかけて実は机の中に入ってたって感じの」
ああ泣きたくなる。この人、普段コス作りばっかりしてるくせに家の隅々まで把握してんだよ!マジであり得ねえよアンタ暇人すぎだろだったら早く掃除の仕方覚えろや!
「ホント、あんたも若いくせに狡猾っていうか、悪知恵が働くっていうか……灯台下暗しって事なのかしら?」
「とりあえず、母さんじゃないのだけは分かったから、もういいよ」
「どうしたの?もしかして失くした?」
「そう」
「探してあげよっか?」
「……丁重にお断りしておくわ。それと誰にも喋んなよ」
「はいはい。近所の奥さんとの話題だけに使わせてもらうから」
「それもダメだから!」
くそ、何でうちの人間は性質悪い奴らばっかなんだよ……父さん除
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