第二章
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ね」
セレネーはその若者の美しさを見てすぐにわかった。彼こそがデメテルの言っていた若者であると。見れば顔だけでなく身体も整い肌は白くまるで月の光のようであった。
「何て奇麗なのかしら」
セレネーはこの時空にいた。上から見下ろす彼は彼女が今まで見たどんな神や妖精、人間よりも奇麗で美しかった。彼女は一目見ただけで彼に心を奪われたのだった。
「もっと近くで」
自然にそう思った。それで密かに降り立ち何気なくを装って彼の前までやって来たのだった。
「あの」
「はい」
若者はセレネーが声をかけるとすぐに彼女に顔を向けてきた。見ればその顔は上から見るよりもずっと美しく映えるものであった。
「貴方は。どなたですか」
「私ですか」
「はじめて御会いして失礼ですけれど」
そう謝ってからまた言う。
「気になりましたので。それで」
「私の名前ですね」
「そうです」
こくりと頷いて彼に応える。
「何と仰るのでしょうか」
「エンディミオンです」
彼はそう名乗った。その澄んだ高い声で。声もまた非常に美しい若者であった。
「僕はエンディミオンといいます」
「エンディミオンですね」
「ええ」
にこりと笑ってセレネーに言うのであった。
「それでですね」
「はい」
今度はそのエンディミオンがセレネーに問うた。これは順番であった。
「今度は貴女のお名前を知りたいのですが」
「セレネーといいます」
彼女はそう名乗った。
「アテネから来ました」
「アテネからですか」
「ここに。移りまして」
アテネから来たと言ったのには理由があった。それは彼女の神殿がアテネにもあったからである。それでこう彼に言ったのであった。
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