第一章 護れなかった少年
第二十九話 悪夢の後で
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ッと振り返ると――
「ありゃ、見つかっちまった」
そう笑いながら人垣の中からケイが出てきた。
ついでメイやハク達、つまり月読のみんなが出てくる。
「......ケ......イ......? み......んな.......?」
そうやって出した声が妙に嗄れていた。
「おいおい、ソラどーしたよそんな嗄れた声しちゃって。さっきもメッチャバッて振り返ってたし」
そう言いながら笑い。僕が振り返った時の真似をする。
そしてソレを見てみんなが笑う。
殺気と視線を感じて振り返るとそこにはケイ達が。だが。その元はケイ達じゃ無いだろう。
......じゃあ......気のせい、だったのか......?
あの殺気も視線も......。
あ、いや、視線は月読のみんなかな。
そこまで考えて張り詰めていた息を一気にふう......とはき出す。
どうやら僕の気のせいだったみたいだし。
「......は......はは......」
安心したら笑いがこみ上げて来た。
ケイは相変わらず僕の振り返る時を真似して笑っている。
「そ、そこまで過剰じゃなかったし!!」
そう言いながら笑い、中に入っていく。
「じゃあ、こうかぁ〜?」
そう言いながらケイが笑いながらさっきの真似に気持ち悪いクネクネとした動きを入れながら振り返る。
「ケイキモイよ!!」
そう言いながらメイが笑う。
それに釣られてハクやブライやセン、さらにはアンスまでが笑っている。
そして僕も釣られて笑う。
そうしてみんなでバカみたいに笑いながら僕はこう願った。願ってしまった。
(――この生活が続けばいいなぁ......)
―☆―☆―☆―
リズベットside
ソラと別れてから数歩歩いたところで立ち止まり空を仰ぐ。
(......結局......聞けなかったな......)
結局、聞けなかった。何回も聞くチャンスはあったのに。ソラのトラウマを抉ってしまうかも、というデメリットが怖かったから。
......いや、違う。私が怖かったのはソラの傷口を抉って嫌われること。
最後まで私は自分のことしか考えてなかった。
そんな自分に虫唾が走ると同時に悔しさで唇を噛む。
背後を振り帰ると、ソラが月読のメンバーと思われる人達と談笑している。
楽しそうに笑っている。
あの時、悲しそうに詩音、と呼ばれた少女の形をしたモンスターを倒したときとは正反対な顔をしている。
ソラの過去に何があったかは分からないけど。それでも、私はソラの仲間で居たい。
そう思い続けながら、私はこの場所を後にした。
―☆―☆―☆―
???
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