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日向の兎
1部
12話
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そうさな、まずは今でこそ皆に言われることも無いが、昔は随分とこの眼は色々と言われたのだ。
テンテン、君も知っているだろうが私は日向の家の産まれなわけだが、この眼ははっきり言って単なる異常でしかない。
事実、通常の白眼とは少々能力が違う。点穴を見つける事は出来ないが、相手の筋繊維の一本に至るまで把握できるこの眼は日向のそれとは似て非なるものだ。
一応チャクラの流れは見えるが、ネジよりは精度において幾分劣るという日向の柔拳向きではないとこの眼は言えるな。
ん?ああ、少々話が逸れたな。
この眼は人の体を視る事に特化しているのだが、心拍数、表情筋、発汗その他諸々見ることで大抵の人の感情が読めるのだ。その結果、言葉を覚えるより早く私に向けられる悪感情を覚えた。
その時はその理由や向けられている感情がなんのかは分からなかったが、少なくとも良くない感情と言うのだけは分かっていたな。そして、言葉を知ってからは宗家の長女という事もあって周りの者は表面上は優しげに接するが、腹の中ではロクでもない感情で私を見ていると知った。
そして、周囲は私がその内にある感情を知っていることなど知らずに、とりあえず宗家の長女という肩書きにのみ縋り付く人間を醜いとしか感じられなくなった。何しろ、私からすれば一目見ただけでも分かる嘘をつき続けられているのだ。
結果として、私は人間不信……いや、違うな。人間とはこんなものかという悟りに近いものを感じるようになった。
まぁ……その、なんだ俗に言う中二病の類を三つか四つで患うハメになったのだよ。今思い出しただけでも頭が痛くなる話だ……確かに私しか持たない能力であり、厭世家紛いになるのも仕方なかった面もあるが正直あれは無かった、うん。
とはいえ、今でこそこうして笑い話に近しい形で話しているがあの時は真剣に悩んでもいた。屋敷から出ることも許されず、周りの者からは延々出来損ないとしての嫌悪感を向けられるのだからな。
その後、その環境を変えようとした私は色々と足掻いた。
例えば、柔拳だ。この眼のお陰で動きを真似る事に関しては得意だったので、親父殿の柔拳は直ぐに覚えられたのだが、向けられる視線が嫌悪から気味の悪い化け物を見る物に変わっただけだった。
如何なる成果を上げようと、如何に当主として相応しい知識や振る舞いを身に付けようと周囲は何も変わらない。そんな環境に物心ついて間も無い少女がいれば性格が歪むのも仕方のないことじゃないか?


「まぁ……うん、確かにひどい話だけど、そこからどうやって今のあなたになったの?」
「うん?ヒナタが可愛かったからだ」
「は?」
「まぁ、その辺りの話はまたいずれしよう。そろそろネジの方も終わりそうだ」
「ほんと、ヒジリってよく分からない性格ね」
「なに、よく言われ
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