十九章 幕間劇
祝杯×美空からの問答
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せたもんだ」
一緒に忍ぶ込んだ小波や綾那、外でフォローをしてくれた一葉たち。全体の作戦を統轄してくれた詩乃と雫。たった一人で城内に侵入して情報を集めたころ。この中でも一人欠けたら作戦は失敗に近かったかもしれない。
「まあそんな優れた将たちを取りまとめているのは、間違いなくあなただわ。一真」
「俺は出来ることをしただけだ。まとめるのは得意でもあるが、あとこいつらもな」
「幕府公認の、天下御免の妾状を取ったんでしょ?そこまで来れば、十分にお家流の領域だわ」
「お家流ねぇ。そんなの考えた事ないけど、褒め言葉として受け取っておこう」
「そうね・・・・。褒め言葉、よね」
美空は静かにそう呟いて・・・・。俺の体が引き倒されたのは、一瞬の出来事だったけど、これはわざとだ。帝釈天たちにも何もしないで静観しとけと言ってある。俺の体に掛かるのは、細い美空の身体の重さ。そして首元に延ばされたのは・・・・白い二本の腕であった。10本の指が俺の首に締めるようにしている。
「どうした、美空」
見下ろす瞳は月明かりを弾いて冷たく輝いていた。指先の冷たさと合せて、現実離れしたものであった。
「何でもないわ。ただ、優秀すぎる相手って・・・・私、嫌いなのよね」
「ほう。じゃあ俺が裏切ったことも気付かせないうちに裏切っているかもと?」
「ええ。私は、私のモノが一番大事なの。空も、越後も、秋子や愛菜、柘榴たちも。そんな大切なモノを脅かす相手には、容赦はしないわ。例え、姉様や母様でもね」
指先の力がほんのわずかに強くなっていく。でもこのくらいでは俺を殺せないな。
「俺は裏切らないが」
「そうよね。もともと、織田のモノだものね。理由を知っているなら、飛び加藤がどうなったか・・・・それも聞いているんでしょう?」
「知っているよ。ただし一つ訂正がある。俺は誰のモノでもないってな」
飛び加藤は怪しいから追放したと聞いている。あとは裏切りを裏切りと感じさせないほどの飛びぬけた優秀さが理由。
「織田のモノじゃないんなら、別に聞かないけど。あの飛び加藤でも出来なかったことを、平然とやってのけた。・・・・アイツよりもっと優秀って事になるわ」
「じゃあどうする?」
「そうね・・・・」
小さな呟きと、ゆったりとこちらに沈み込む細い体。重心が俺の首筋にと沈み込む。帝釈天たちは剣を抜いているな。あれほど静観しろと言ったのに。
「・・・・いっそ、殺しちゃおうかしら?」
愉しそうに言ったけど。美空はその瞳をうっすらと細めて、俺の耳元にそう呟きかけた。首に絡むのは指ではなく手全体だ。少しずつ感じる圧迫だなーと思った。そして。
「・・・・抵抗しないの?」
耳元でつまらなそうに言われた
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