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エルジアの軌跡 ~国家立て直し~
決裁回廊
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の隊長であり、間違いなくエルジア軍最強の男、それがプロスである。
兵卒出身だが50で少佐に上り詰めた彼の実力は桁違いのものである。
そしてマルセルに対する盲信的なまでも忠義心は異常であるが、昔ゲームとしてプレイした時に彼の所属する部隊を優遇したり、知らないうちに信頼築くイベントしていたらしい。
多分、この世界に移る前に、悪戯のような笑いを浮かべた神のような存在のあいつらが置いた土産だろう。
「ライト、メリウス、ご苦労」
「はっ」
プロスの言葉に、マルセルの後ろに留まる二人の男女は答える。
男はライト・フレシス国家警察出向準キャリアの警部補、歳はマルセルと同い年、高い戦闘能力と状況判断力を持つ。そしてもう一人は、陸軍出向の二等軍曹、メリウス・フレッツ、歳は四つ下で、下士官学校卒業、彼女の方は事務能力の高さと、超長距離から5mの射程まで幅広い銃火器で対処する天才である。
二人はプロスに認められマルセル護衛専任兼秘書的立場の地位にある。
「本当、君たちはどこから出てくるのかな?」
「ただ付いてきただけです」
マルセルの問いに困ったような表情でライトが言う。そう、彼らの追跡術は異常に高く、周りの人間も気付かないほど人畜無害。ただ、マルセル自身が危うくなった瞬間、殺意と任務遂行の固い意志を持って不埒物は生きては帰れない。
「さて閣下、残念でありますが、あの周りの人間の他にも閣下のサインが必要な人間はたくさんいます。執務室へ」
「ああ・・・また始まるか」
判子だけの日本人の頃が懐かしい、ここでは常に万年筆でサインサインサイン・・・外国、この世界においてもサインは大事。
その時プロスがああ、と呟いてから
「緊急で入ったのが一つ、講和会議についてとか・・・」
「お、来たか」
マルセルが受け取り書類を眺め・・・そして
「よし・・・第一段階は成功だ」
「第一段階・・・ですか?」
マルセルの言葉にライトが聞き返す。
「そうだ・・・楽しくなってきた。すぐに関係省庁を集めろ。講和について対策を始める」
「執務は・・」
「・・・集合までに片づけられるだけ片づける!」
「はぁ」
プロスもさすがの苦笑いである。しかし信じて付いていく手前、彼はそれに反対せず、やがて頷き
「承知いたしました。優先順位の高い書類から回していきます」
「頼んだ」
そして歩き出す。エルジアの未来をかけた講和会議の対策をしに・・・・

マルセルが望んだ講和会議の場所、それが第一段階であった。それが正式に狙い通りに決まった。
ユージアに近く、関係諸国と繋がり深く、特にエルジアが根回ししている、ベルーサ大陸最大の国にしてオーシアと張る超大国、ユークトバニアでと・・・




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