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女の子の恋
第一章
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ければどうしようもないのよ」
「そうなんでしょうか」
「勉強もそうでしょ」
 由美子はまた言った。杏奈はスカートから着替えている。
「自分でやらないとどうしようもないのよ」
「それはそうですけど」
「テニスだって同じ。貴女が上手くなったのは貴女の努力の結果なのよ」
「それじゃこれからも練習していけば」
「もっと上手くなるわよ」
 杏奈に顔を向けて言った。胸のリボンをつけながら。
「だからこれからも頑張ってね。いいわね」
「はい」
 杏奈は元気のいい声で答えた。スカートを着けた後でカッターを着ていた。
「私、頑張ります」
「ええ、頑張ってね」
 スカートを履いてカッターを着た後で部室を出た。杏奈はまだカッターを手にとったところであった。
「先輩・・・・・・」
 杏奈は由美子が出て行った部室の扉を見ながら呟いていた。その扉を見る目は何処か今までの目とは違っていた。熱く、
そして一途な目であった。
 杏奈と別れて部室を後にした由美子の前に引締まった身体を持つ長身の少年がやって来た。精悍な顔立ちをしており如何にもといった感じの持てる顔の少年であった。
 彼の名は新内幸平、この学校の二年生であり由美子や杏奈と同じテニス部に所属している。そして同時に由美子の彼氏としても知られていた。
「待った?」
「いいや」
 幸平は彼女にこう返した。
「俺も今来たところだから」
「そう、よかった」
 由美子はそれを聞いてまずはほっとした顔になった。
「女子は部活が長引いたから。遅れるかと思ってたけど」
「こっちもね。部室をちょっと掃除してたから」
「そうなの」
「一年生が結構散らかしててね。それを掃除させてたんだ」
 彼は苦笑いを浮かべてこう言った。
「こっちの一年はとにかく後片付けとかしないから。大変なのよ」
「男子の一年は結構手間がかかってるみたいね」
「まあね。それでも大分ましになったけれど」
 少し溜息を出してから述べた。
「最初は。どうなるかと思ったよ」
「こっちはそうでもないけれどね」
 由美子はその話を聞いた後で自分の方の話を出してきた。
「いい娘ばかりよ」
「そうみたいだね。何か羨ましいよ」
 苦笑いを浮かべるその顔は本当に羨ましそうであった。
「最近そっちは後輩の指導にも熱を入れてるみたいだね」
「そうね。一人有望株がいるし」
「そうなんだ」
「杉本っていう娘よ」
「ああ、あの娘だね」
 幸平の方も名前を聞いて思い当たるところがあった。
「背の小さい」
「そうそう」
 由美子の方もそれを聞いて応える。
「あの娘結構筋いいのよね。伸びると思うわ」
「それでしごいてるんだ」
「失礼ね、私別にしごいたりなんかしてないわよ」
 そう言って口を膨れさせる。それは杏奈には
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