第六章 正義の在り処編
第百八十四話 『事情聴取と過去』
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法をアイツは編み出した。
だけど産まれたクローン達は魔力ランクが低く、精々CかBが限界だった………」
リオンはそれを言い終わるとここからが本題だという感じで無意識のうちに拳を強く握りしめながら語る。
「だからモリアは最後の方法として……“あらゆるエース級魔導師の遺伝子を組み合わせて、最強の魔導師を産み出す”…つまり合成獣を創るという方針で研究し、産み出されたのが……この私なんです」
「胸糞悪い話だなぁ、おい?」
「全くですね。人の命を何だと思っているのでしょうか」
「全くですね」
「うむ。狂人、というやつだな。どこの世にもそんな輩はいるものだからな」
サーヴァント陣が本音を言う。
それは皆同じ気持ちのために無言で頷いていた。
「だけど私も魔力は低く、当時は体も弱かったから何もできなかった。
その都度モリアから虐待を受けて何が悪いのか分らなくて何時も泣いていた。
そしてある日アイツは私たち20人のクローンを一つの部屋に集めて、『最後の実験を行うからこれが終わったらお前らを解放してやる』と言ってまるで自由をあげるような言い方で私たちを連れていきました」
そこでまたリオンの瞳から涙が流れ出して、より一層拳の握る力が強まる。爪が皮膚に食い込んでいるのだろう。血が垂れている。
「でもそれは真っ赤なウソ。
その部屋は人間とは別に魔法生物の合成獣の研究で失敗した怪物たちの…エサ場でした。
20人いた私たちは1人、また1人と怪物たちに食べられて、最後に残ったのが私だけ。それでようやく分かった。
アイツは…アイツ等は初めから私たちを生かすつもりなんて無かった。
『解放』って意味は私たちクローンの世話から解放される、つまり処分ってことだった!
でもそれに気付いた瞬間には怪物の爪を受けて死を待つだけかと思っていたんだけどこの魔眼を開眼したの」
そう言ってリオンは眼鏡を外し、一度閉じて再度開くと両目が怖いくらいに綺麗な蒼い眼に変わった。
それに志貴は内心で「やっぱりな………」と思っていた。
「やっぱり直死の魔眼だったか……」
「そういう名前なんですか?」
「ああ。俺も同じ眼を持っているからわかる」
「そうなんですか。ともかく、この魔眼を開眼した瞬間に自然と理解できたの。
これはあらゆるモノを殺せる眼だって。
この眼には“線”と“点”が見えて、それに沿ってやれば例え素手でも確実に敵を殺せるって解ったの。
だからこの魔眼で怪物たちを皆殺しにした。
あとはモリアを殺すだけだったんだけど、出血に加えて体を激しく動かしたからすぐ気を失って……気付いた時にはモリアにリンカーコアを抜かれてアイツの飼い犬をやらされた………」
リオンの悲痛な告白に全員が言葉を失っていた。
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