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Fate Repeater 〜もう一人のクルスニク〜
二話:約束
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何か困っているのだろうか?

そう言えば先程言っていた禍の団(カオス・ブリゲード)……
もしかすると、ここは力を持つ者を集める所なのかもしれないな。

「それで、オーフィスは何か私にして欲しいのかい?」
「我、おウチに帰りたい。」

オーフィスがそう言った瞬間に脳裏にある少女の姿が思い浮かぶ。


『“エル”……おウチわかんない。』


始めはただ家まで送り届けるつもりだった少女。
そして“カナンの地”まで共に行くと約束した少女。
守れなかった約束……私の罪……“エル”……お前は……。

「ヴィクトル?」
「ああ、すまない。少し考え事をしていただけだよ。」

不思議そうに私の顔を覗き込んでくるオーフィスに何でもないように返す。
……そういえば、エルもこんな風に私の事を心配してくれたことがあったな。
私はずっとあの日破った約束の事を………償うことは出来ないのだろうか?

「我、グレートレッドに追い出された。我、帰りたい。でも、一人では不可能、だからヴィクトルの力、貸してほしい。グレートレッドを倒して真の静寂を手に入れる。」

つまりは、禍の団(カオス・ブリゲード)とはオーフィスがそのグレートレッドを
倒すために有志を募った集団と言うわけなのだろう。
グレートレッド……今の私には何者かは分からないが、そんなことはどうでもいい。

「こんな……私に頼んでいいのか?」
「我、望む。」

疑うこともなく頷いてくれるオーフィス。
……こんな私を―――約束の一つも守れなかった私を……娘を偽物だと言った私を……
お前は信じてくれるのか………オーフィス。

それならば…お前のその信頼に私も応えなければならないな。
オーフィスに小指を差し出す。

「?」
「オーフィス、小指を差し出しなさい。」

キョトンとするオーフィスにそう促す。

「分かった。」

オーフィスの小指にしっかりと自分の小指を絡ませる。

「これは?」

小首を傾げて私を見上げるオーフィス。

「大切な約束を結ぶ、おまじないだよ。」

――約束――

これは私がもう二度と約束を破らないという誓いでもある。
今度こそ―――約束を守り抜いて見せる!!!
例えその為に再び世界を壊すことになろうと
再び大切な者をこの手にかけることになろうと
約束しよう、この命を賭けて。

「本当の約束だ。私、ヴィクトルは全てを賭けてオーフィスを家に連れて行くことを誓おう。」
「分かった、約束。」

目と目を合わせて約束を交わす。
本当の約束は目を見てするものだと、“エル”から教わったからな。
オーフィスとの約束を守ることが“エル”との約束を破った償いになるとは思えない。
約束を破った男が本当の
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