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Fate Repeater 〜もう一人のクルスニク〜
二話:約束
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寝ている私の上に飛び乗ってきたり、今の様に私の頬を叩いたり………?
どういうことだ?なぜ、夢なのに今まさに叩かれていると感じるのだ?
夢ではないのか?この自分の頬を小さな手でペシペシと叩かれる感触は……。

まるで幼いエルが私を起こしに来た時にやっていたように、私を叩く者は一体?

「異世界の人間、起きた。」

目を開けてみると漆黒の髪に黒い目といった少女が私を覗き込んでいた。
この子が私の頬を叩いていたのか……。
年はちょうどエルと同じぐらいかそれよりも少し上といったところだろうか?

それにしてもこの少女は一体?それになぜ、私を異世界の人間だと?
そして、感じる圧倒的な存在感と力……。
子供の身でありながら私よりも強いのは間違いないだろう。不思議な子だ。

ゆっくりと体を起こしてそこでポケットの中からカチカチと時計の針の音が
聞こえることに気づく。これは……時計もあるという事か。
恐らくはビズリーから奪った時計のはずだ。私の時計はエルに渡してあるからな。

それにしても二度も目覚めるという事は私は生きていることになるのだろうか?
……いや、今は少女の方が先だ。気を取り直し少女の方を見る。

「一先ず、お名前を教えてもらえないかな?お嬢さん。」
「我、オーフィス。」
「私は………ヴィクトルだ。」

片言で教えてくれた少女―――オーフィスにそう答える。
一瞬、“ルドガー”と答えようかと迷ったが結局ヴィクトルと答えることにした。
私はルドガーとは違う人間であると自分で確認したかったというのもあるが
それ以上にエルの父親であるという事を忘れたくないという理由の方が大きい。

ルドガーとエルが会った時に私の正体がばれない様にするために
ずっとヴィクトルと名乗ってきていたからな………。
思えば、最後にルドガーと呼ばれたのはラルとの別れの時か……。
まあいい、今はオーフィスにここがどこなのかの説明をして貰うとしよう。

「オーフィス、ここがどこだか分かるか?」
「ここ、禍の団(カオス・ブリゲード)の我の部屋。」

無表情で答えるオーフィスが言った名前を心の中で復唱する。
禍の団(カオス・ブリゲード)?聞きなれない名前に首を傾げ、
その傍らに、脇目で部屋の中を見回す。……妙だな、物が少ない。
まず思ったことがそれだ。この位の年の女の子の部屋にしては余りにも無機質で地味だ。

一瞬オーフィスが監禁されているのかもしれないと思ったが彼女の様子からして
その線は薄いだろう。監禁されているにしては余りにもオーフィスには余裕がある。
実の親に閉じ込められている?いや、そんなことはないと信じたい。
………私の様に娘を苦しめる馬鹿な親が他にいないことを信じたいからな。
恐ら
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