第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十九話 日は沈み……
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渡してきたのは直径三十p程の八角形の板、その板の上には青白い光で形造られた矢印が浮かび伊勢の都から西を指示していた。
そのまま西を目指し最初に見えた町で捜索を開始しようとした所で重要な事に気付いた。
「そういえば今の輝夜の特徴って何?」
僕が知っているのは過去の小さい輝夜だ。あの子も豊姫達の様に成長している筈なのだから今の特徴を知らなければ聞き込みのしようがない。それに今気付くなんて――――そろそろボケがきたのかもしれない――――なーんてね。
その事を永琳に伝えると彼女は、
「そうね――――長い黒髪の美人を見なかったか?って聞けばいいんじゃないかしら?見た目だけは目立つから」
そう伝えるだけで他に手伝おうとはしなかった。そこからは地道な聞き込みを続け情報が無いと分かったら更に西を目指し移動した。
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そして今に至るのだが――――ここにきて漸く僕は違和感に気付いたのだ。
「……ねぇ永琳――――この探知機って……もしかして方角“しか”分からないとかじゃないよね?」
そう永琳に恐る恐る聞いてみると、
「あら?言ってなかったかしら?その通りよ、輝夜が居る方角しか指さないわ♪」
彼女は悪びれもせず何時も通りの笑顔を浮かべそう言い放った。
「……永琳ならもっと高性能な探知機に出来た筈じゃない?」
そうか彼女ならこんな半端な性能の物じゃなくもっと良い物を造れる筈なのだ。
「お兄様ったら何を言っているの?――――狩りは追い込むのが楽しいんじゃない♪簡単に居場所が分かったら面白くないでしょう?」
「狩りって……ねぇ永琳、輝夜と何かあったの?何ていうかこう……変だよ?」
「……そうね――――しいて言うなら……“乙女の秘密”よ」
永琳は微笑みながら右人差し指を口元に当てそう言った。彼女が『乙女の秘密』という単語を使う時は絶対に喋らないという意思表示だ。
その言葉に肩を竦める僕に永琳はゆっくりと近づくと僕の首に両手を回し密着してくる。傍から見れば恋人同士の触れ合いに見えるだろう。しかし僕をみつめる永琳の視線は甘いモノではなく刃物の様に鋭いモノだ。
「私に言わせればお兄様の方が十分に変よ」
「ハハハハ、変なのは元々だよ?よく知ってるだろう」
「あら?ウフフッお兄様ったら――――随分と嘘が上手くなったわね」
「いやだな〜僕が永琳に嘘なんて吐く訳がないじゃないか」
僕がそう言うと永琳は僕から離れ少しの間見つめると不意に笑みを浮かべて、
「……まぁいいわ、お兄様が何を隠しているか知らないけれど――――結局答えは決まっているのだから」
そう言い放つと永琳
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