入学編〈下〉
事情聴取×真実と偽りの情報
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ない。だがあたしは、お前をすげなくあしらったりしていないぞ?」
「傷つけた側に傷の痛みが分からないなんて、よくあることです」
真剣に首を捻っている委員長を、皮肉成分たっぷりの口調でエリカが非難する。
「エリカ、少しの間黙っていろ」
それを一真が制止したのだった。それ以上を言わせないために。
「何?一真君は渡辺先輩の味方なの?」
「いいから黙ってろが、小娘が!今すぐ殺されたいのか?んー?」
小娘と言われてエリカは反論しようにも出来なかった。というより、この場にいた全員が喋れない状況となったのだ。一真は覇気と殺気をエリカにぶつけていたはずが、いつの間にかこの部屋の中まで殺気と覇気という空気が広がったからだった。唯一この空気に動けたのは深雪なので、一真を落ち着かせようとしてから覇気と殺気を閉じたのだった。
「すまない、続きをどうぞ。壬生先輩」
「え、ええ。先輩は、あたしでは相手にならないから無駄だ、自分に相応しい相手を選べ、と仰って・・・・。高校に入ってすぐ、憧れた先輩にそんな風に言われて・・・」
「待て・・・・いや、待て。それは誤解だ、壬生」
「えっ?」
「あたしは確か、あの時こう言ったんだ。『すまないが、あたしの腕では到底、お前の相手を務まらないから、お前に無駄な時間を過ごさせてしまうことになる。それより、お前の腕に見合う相手と稽古してくれ』とな。違うか?」
そう訊ねられたらどうやら壬生先輩の勘違いだったらしいが、何か引っかかるなと思った。委員長が相手にならないなど言っていないということであり、剣の腕ならば去年から委員長より上だったそうで。そういうことらしいから、委員長は稽古の相手を辞退したそうだ。委員長は魔法絡みだと上らしいが、委員長が学んだ剣技は、魔法の併用を前提とされたもおんであって、魔法を最大限に活かすらしく純粋に剣の腕を修めた壬生先輩に剣技では敵わないと。
「壬生先輩、少しの間頭に手を置いても構いませんか?」
「え、ええ。でも何をするつもりなの?」
「それはやってみてのお楽しみです。目を瞑って楽にしてください」
そう言って目を瞑った先輩の頭の上に手を置く俺。もう片方の手は掌を広げてから投影された。それは壬生先輩の過去の記憶そのものだった。そして委員長が壬生先輩に言ったところで、映像が途絶えてしまう。そして映像が見れるときには、委員長が立ち去ったあとのことだった。
「深雪さん。一真君は一体何をしているんですか?」
「お兄様は過去の記憶を見ているのですよ。そしてそれをもう片方の手を媒介にして、投影しているのです。ですが、渡辺先輩が言ったところで映像が途切れてしまうのは何かで書き換えられたとしか思いません」
過去の記憶が見えるなんてあり得
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