入学編〈下〉
エリカ対紗耶香
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突となった。切っ先(剣先)合わせも発声もなく、動いた瞬間にエリカの警棒が壬生先輩の首筋に迫っていたので咄嗟に手を跳ね上げる。反射的な防御で攻撃を防いだと思ったらエリカは、壬生先輩の背後に回り込んでいたから振り向きざまに勘でバトンを縦に立てる。
「あれはまるで電光石火だな」
「私で言うのなら、自己加速術式ですよね」
二人はそう感想を漏らしたが、壬生先輩もそう思っていた。弾き飛ばされそうになってからの、鍔迫り合いに持ち込もうとしたら相手の身体は間合いの外にいたのだった。
「自己加速術式・・・・・?・・・・・渡辺先輩と、同じ?」
エリカは応えなかったが、続いて放たれた言葉に足を止めた。その一瞬の停滞でチャンスなのか、壬生先輩は廊下を満たした耳障りな騒音が再び踏み出したエリカの足を止めたのだった。耳には聞こえないサイオンノイズ、これはキャスト・ジャミングによるものだと。顔を顰めたエリカに向けて、壬生先輩が攻勢に入るのだった。息もつかせぬ連続攻撃、面、面、小手、胴、袈裟切り、切り上げ、面、袈裟切り・・・・。その剣筋は、スポーツとしての剣道ではなく古流もしっかりと学んでいることを窺わせるものであった。攻める事、火の如く。風林火山のような感じで烈火の如き攻撃であったが、サイオンのノイズは消えていた。それはそうだ、キャスト・ジャミングはアンティナイトにサイオンを注入する事で発動するモノで、注入が止めればノイズの発生も止まることを。
「あらら・・・・もう疲れたの?じゃあ今度はこっちの番!!」
と今度はエリカのターンとなり、剣劇をする事となるが魔法は使わないエリカだった。今はキャスト・ジャミングはされていないのにも関わらずに、魔法は使わなかった。エリカはコンパイルの実技に苦労はしていたけど、エリカの持つCADは高速化に優れた特化型で、エリカはこの特殊な形状のCADに習熟している。刻印術式の方には、キャスト・ジャミングの影響下においてすら、サイオンが安定的に供給されていた。烈火のようながむしゃらの動きである壬生先輩、一方エリカは無駄のない動きで受け止めてさばいている。その目に焦りなどない。呼吸に乱れがないエリカに対して、先に乱れたのは、攻め疲れた壬生先輩の方だった。攻守が入れ替わったのか、エリカは決めると同時にスタンバトンをへし折ったのだった。
「・・・・・・」
眼前に突き付けられた警棒を、壬生先輩は怯まず睨みつける。その目には、強い闘志が籠っていた。
「拾いなさい」
得物を動かさずに、エリカは告げる。
「・・・・・・」
何を言っている意味すら理解できないのか、何も応えない。
「そこに転がっている脇差を拾って、貴女の全力を見せなさい。貴女を縛るあの女の幻影を、あたしが打ち砕いてあげる」
突き
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