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魔法科高校〜黒衣の人間主神〜
入学編〈下〉
特別閲覧室×言葉の打ち合い
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て、不当な侮辱を受けてきたはずよ!誰からも馬鹿にされて来たはずよ!」

壬生先輩の叫びは、心の叫びみたいな感じではあったというより嘆きであった。心の底からの絶叫でもあった。だが、その叫びは一真の心には届かない。逆に差別を受けていないという事は事実であって、共感も感じない事であった。一真にとっては、「しょうもないことだな」として受け容れている、単なる事実だからだ。壬生先輩の叫びは、彼の心には届かなかったが、隣にいる少女の心には届いたようであった。

「私はお兄様を一度も見比べたり蔑んだりしていません」

静かな声だった。その声には、壬生先輩の嘆きを沈黙させる感情=怒りが込められていた。

仮令(たとえ)私や蒼い翼関連の人達以外の全人類がお兄様を中傷し、誹謗し、蔑んだりしても、私とお兄様の部下は変わる事のない敬愛や仲間意識を捧げる事でしょう」

「・・・・・貴女・・・・・」

絶句する壬生先輩。あまりにも鮮烈な深雪の誓言に、壬生先輩の言葉だけじゃなく、思考と感情まで断たれる。

「私やお兄様の部下やお仲間も同じことを言いますでしょうが、魔法力故ではありません。少なくとも、俗世に認められる魔法の力ならばお兄様を数段上回ります。ですが、そんなものは、私のお兄様に対する想いに何の影響もありません。それに魔法力は普段なら私が上回りますが、本気を出したらこの一国を滅ぼすほどのお力を持っておりますのよ?私や部下・仲間はお兄様に対する想いは、微塵も揺らぐ事はありません」

「・・・・・・・・」

「誰もがお兄様を侮辱した?それこそが、許しがたい侮辱でありそれを無くそうとしたお兄様。侮辱をする輩など、お兄様にとってはどうでもいい事なのですよ。あとはお兄様の素晴らしさを認めているお方はたくさんいます。壬生先輩、貴女は、可哀想な人です」

「何ですってっ?」

声だけは大きかったが、力は無く、想いも感情も空っぽであった。

「貴女には、貴女を認めてくれる人がいなかったですか?魔法だけが、貴女を測る全てだったのですか?いいえ、そんなはずはありません。そうでない人を、私は少なくとも一人、知っていますから。誰だと思いますか?」

「・・・・・・・・」

「お兄様は、貴女を認めていましたよ。貴女の剣の腕と、貴女の容姿を」

「・・・・そんなの、上辺だけのものじゃない」

「確かにその通り、上辺だけのものです。でも、それを確かに、先輩の一部であり、先輩の魅力であり、先輩自身ではありませんか」

「・・・・・・・・」

「上辺なのは当たり前です。カフェで二回、お兄様と貴女が直接顔を合わせて話をしたのは、まだこれで三回目だけなのですよ。たった三回、会っただけの相手に、貴女は何を求めているのですか」

「それは・・・・・
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