入学編〈下〉
特別閲覧室×言葉の打ち合い
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ガンを後輩へと向ける、仲間の男。この男は第一高校の生徒ではないことを知っていたし、司の兄であるリーダーが連れて行くように指示した男だ。そのリーダーが直接指名した仲間が示したのは明白な殺人の意志。壬生先輩は無言の悲鳴をあげていた。制止しようにも、声が出なかったし手も動かなかった。自分がこの人殺しの仲間だという認識が、彼女を竦み上がらせた。人の命を簡単に殺すことの出来る弾丸は、発射されたが何か防がれた音によって兄妹には当たらなかった事という事実。見ると浮かんでいる長方形の装甲みたいなのが、何枚か浮かんでいて何発が撃ってもその盾によって防がれたのだった。その後に拳銃が暴発して周りにもダメージがあると思ったら、その男の周りだけ結界みたいなのが張っていた。
「愚かな真似はやめるんだな、こいつはシールドビットと言ってな。深雪の脳波でコントロールしている。ついでにその拳銃が暴発した理由は簡単な事だ。俺が自分の銃で相手の銃口に向けて発砲したからだ、こういう銃火器での事は出来るヤツがあまりいないけど」
と言ったあとに、その男は暴発したダメージで倒れた。手は銃の暴発で、血だらけになり破片が身体に当たりとても痛がっていた。あとは口調は静かにそして冷静になりながら、ハンドガンをしまうのだった。あまりにも格が違う相手とすぐに理解をしたし、何をしても敵わないと分かる。
「壬生先輩。これが現実ですよ」
「えっ・・・・?」
「誰もが等しく優遇される、平等な世界。そんなのはあり得ない。才能も適性も無視して平等な世界があるとすれば、それは誰もが等しく冷遇された世界。本当は壬生先輩もご理解できているのでしょう?そんな平等を与えることなんて、誰にもできないとは言いませんが出来るとしたら数人しかいない事でしょう。ですが、それは騙し、利用する為の甘美な嘘の中にしか存在しないのですよ」
壬生先輩の、焦点の合っていなかった瞳が、焦点を結ぶ。彼女を正面から見詰める、後輩の無表情な目の中に見える感情は。そして右手にはまだCADを構えたままだ。
「壬生先輩は、魔法大学の非公開技術を盗み出す為だけに利用されたのです。これが、他人から与えられた、耳当たりの良い理念の、現実ですね」
その感情とは、憐れみなのか。
「どうしてよ!何でこうなるのよっ?」
そう感じたのか、一気に感情が爆発した。
「差別を無くそうとしたのが、間違いだったというの?平等を目指したのが、間違いだったというのっ?差別は、確かに、あるじゃない!あたしの錯覚なんかじゃないわ。あたしは確かに、蔑まされた。嘲りの視線を浴びせられた。馬鹿にする声を聞いたわ!それを無くそうとしたのが、間違いだったというの?貴方だって、同じでしょう?貴方はそこにいる出来の良い妹と、いつも比べられていたはずよ。そし
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