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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第10話 「灰色の覇王vs純白の騎士」
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『少し頭を冷やせ。何ならもう一回地面にキスでもするか?』

零は横一閃に振るわれた『雪片弐型』をその場でのけ反って回避、さらに一夏の身体を両足でしっかり挟み込み、そのまま後転して真下に投げ飛ばした。一夏は顔面から地面に激突する。

『頭冷えたかー?』

零はニヤニヤ笑いながら一夏を見下ろしている。相変わらずの挑発的な態度にまたもやカッとなりそうな一夏だったが、耳元で警告音が鳴り響いたことで我に返った。

(ヤバい。シールドエネルギーが・・・。)

零は徒手空拳なのでダメージは高が知れているが、我を忘れて無暗に『零落白夜』を使いすぎたことが仇となった。一夏が冷静さを取り戻したのに気づいた零はまだ笑顔。しかし、先程の嫌味ったらしいものではなく、師匠が弟子に見せるような純粋な微笑みだった。

『はは、そろそろシールドエネルギーが限界か?ま、だからこそ武器の禁止なんて面倒なノルマが成り立つわけだけど。』

ここに来てようやく一夏は気づいた。IS戦で徒手空拳では、いくら実力に雲泥の差があったとしても仕留めるのに相当の時間を要する。模擬戦である以上、あまり長期戦になるのは見物客などの存在を鑑みると好ましいことではない。零も千冬もこの展開を完璧に予測していたのだ。一夏は最初から手のひらの上で弄ばれていたようなものだ。

『・・・なるほど。確かに弱いな、俺って。』
『やっと自覚してくれたか。』
『勝手にキレて、我を忘れてヘマやって、しかもそれを全部最初から予想されてたとか馬鹿みたいだよ。でもな・・・』

一夏は『雪片弐型』を正眼に構える。今までと違い、目はしっかりと零を捉え、落ち着きを取り戻している。一夏の様子が明らかに変わったのを確認した零は少しやる気が出たのか、表情に真剣さが窺える。

『それでも俺は守りたい!千冬姉だけじゃない。守りたいもん全部守ってみせる!』

一夏の決意に応えるように、《白式》は輝きを帯びる。『零落白夜』をフルパワーで解放した一夏は雄叫びをあげて零に突進した。

『覚悟は上等だな。でも、まだ届かない。』

真下から迫る一夏の斬り下ろしを目にも止まらぬ素早さで回避し、渾身の力で一夏の頭に回し蹴りを叩き込む。更に蹴り飛ばされた一夏に一気に加速して接近、一夏が地面に激突するタイミングに合わせて顔面に拳をめり込ませて激突の威力を倍増させた。

『・・・まあ、こんなもんか。で、まだ続けるか?』

零は地面に寝転がっている一夏に問う。勝者である零、敗者である一夏。正反対の立場にある2人だったが、その表情は全く同じだった。それは満面の笑み。達成感に満ちた溌剌とした笑顔だった。

『はは、もう無理。シールドエネルギーも残ってないし、どうせ勝てないし。』
『だが、センスは感じたぞ?ちゃん
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