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レインボークラウン
第百六十九話

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                 第百六十九話  家に帰って
 亜美は家に帰ってだ、そのまま自分が成長して大人になった様な顔立ちの母にだ、顔を上げてそのうえで問うた。
「おかん、ええか?」
「何や?」
 亜美の母は関西弁で娘に返した。
「今日の晩御飯のことかいな」
「最初それ聞きたいけどええか?」
「ハヤシライスとサラダやで」
 母は笑って娘に答えた。
「御飯は十六穀や」
「あっ、ええな」
「美味しくて栄養たっぷりや」
 母は娘ににこりとして話した。
「ええやろ」
「ほんまにな、ほな今晩最高やな」
「おとんもお兄も食べるさかいな」
「たっぷり作ってくれたんやな」
「勿論や、亜美ちゃんもたっぷり食べや」
「そうさせてもらうわ」
「それでや」
 晩御飯の話が一段落してだ、母は亜美にあらためて問うた。
「おかんに何の用や?」
「うん、おかん昔バンドやってたやろ」
「若い頃な」  
 母はにこりと笑って娘に答えた。
「やってたで、友達とな」
「そやろ、そやったらな」
 亜美は母の返事を受けてあらためて言った。
「作詞とか作曲したことあるやろ」
「勿論や、何曲かな」
「ほなうちに教えてくれるか?」
 こう言うのだった。
「作詞と作曲の方法」
「遂にこの日が来たんやな」 
 娘の言葉を受けてだ、母はにこりとしてこう言った。
「あんたがバンドしてから何時か絶対にと思ってたわ」
「何や、わかってたんかいな」
「バンドやってたら絶対に作詞作曲するさかいな」
 だからだというのだ。
「うちこの日が来るの待ってたんやで」38
「そやってんな」
「ほな教えたるわ」
 母はにこりと笑って娘に答えた。
「一からはじめるで」
「うん、頼むわ」
 娘も母に応える、そうしてこうも言うのだった。
「うち何も知らんさかいな」
「そやから一からはじめるで」
 母もそのことがわかっていた、それで娘にこう優しく言うのだ。
「作詞も作曲も」
「うん、難しいやろか」
「難しくてもやってみな何もわからんやろ」
「チャレンジ第一っちゅうねんな」
「そういうこっちゃ」
 こう話してから教えてもらう亜美だった、作詞も作曲も。


第百六十九話   完


                   2014・9・19
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