入学編〈下〉
粛清活動
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次の日から俺と蒼太は走り回っていた。新入部員勧誘週間と言う名のバカ騒ぎはまだまだ続く。そして今が四日目だということを、まあとりあえず軍隊でいうなら前線より事務的なことの方が忙しいと思う俺であったが、普通なら前線だろうと答える者の方が多い。全く客引きも呼び込みも、昔と変わらないが。学校での部活勧誘はここまで激しいという風に知ったのは三日目くらいだ。あとは勧誘活動でのトラブルを解決したり、差別用語を飛ばす輩がいたら風術での拘束とかだったが精霊たちは俺に力を貸してくれるからそこだけは嬉しいことだ。あとは通報を受けたトラブル現場へ駆けて行くが邪魔者が絶えない。俺らが走っていると、後方から魔法を発動しようとする者の気配を感じたけど。
ただ俺自身ではなく、地面に干渉させる魔法のようだったけど。初日であれだけ目立ったのか、この手のは即刻確保をしている。中には未遂犯による常習犯がいたけど、俺と蒼太は止まってから無効化の弾丸を相手に飛ばす。すると魔法式展開中が未発となったので確保しようとしたが、植木の陰から肉体のみでは不可能な速度で逃げ出したけど。あえて確保しなかった、やればできることだが右手にあったのを見て止まったからだ。あれは移動魔法と慣性中和魔法の併用による高速走行の魔法を前もって準備をしたのだろうけど。あの速度は普通なら足の動きがついて行かずに転んでしまうのがオチなはず、だがあいつは身体の方も結構鍛えていると考えられる。
「一真様、追いかけなくてよかったのですか?」
「本当なら確保するが、右手首にあった赤と青の線で縁取られた白いリストバンドを見たからな。泳がせるつもりだ」
「リストバンドというと、あれですか。まさかこの学校内にもいるとは」
俺達はあのリストバンドの事を考えたが、今は風紀委員の任務が先なので通報があったところへ向かったのだった。一週間が過ぎた。新入生勧誘週間は、俺と蒼太にとっては些細な戦いだと思ってた。まあ本物の前線でもいいけど、それよりかはまだまだ小規模だからいいとするが。風紀委員の中で特に忙しかったのは、一番は俺達だ。本来の活動とは別の意味だがな。初日に取り押さえた桐原武明は対戦系魔法競技では当校有数の有望株だったそうで、俺が取り押さえたときは壬生先輩によるダメージがあったから容易く料理できたのだという見方もあるし差別用語を発した時点で拘束されるというのは、一科生にとっては面白くもないことだった。対戦系魔法競技で細かい事情を知らない者にとってもだったけど、一年生の二科生にレギュラー選手が負けたことも。
「一真、今日も委員会か?」
帰り支度の俺に、鞄を手にしたレオがそう訊ねた。
「今日は非番だ。やっと前線から帰ってきたような感じで、ゆっくり休めそうだ」
「大活躍だったもんなぁ」
「大した事はし
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