第一章
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そんな感じかしら」
皆先生の言葉を聞いて口々に言う。
「席はとりあえず一番後ろだ」
転校生の席の定番だった。
「それでいいな」
「はい」
その少女美有は先生の言葉に頷いた。その白い顔を微動だにさせずに。
「わかりました。それでは」
「じゃあこれでホームルームは終わりだ」
他にも何か言いそうなものであるがこの先生は違う。とにかく愛想というものがないのだ。顔はわりかしどころではなくいい感じなのだがそれでも人気が今一つなのはそうした理由だからだ。これで結婚しているというのも皆かなり不思議がっている。
「じゃあな」
先生はすぐに教室を出た。それからすぐに別の先生が来て一限目の授業が行われた。それが終わってから皆で美有を囲んで話をするのだった。
「京都からなのね」
「ええ」
美有は女の子の一人の言葉に応えた。皆で自分の席に座っている彼女を囲んで話をしている。
「それでどうしてここに?」
「家の仕事の関係なの」
美有はそう彼女に答えた。
「こちらにも道場を置くことになったから」
「道場!?何の?」
「華道よ」
そう述べた。
「うちの家華道の家元なの。次男の家でこっちに移ったの」
「へえ、華道の」
「じゃあお嬢様なんだ」
「それは別に」
美有はそれは否定した。だが顔は変わらない。クールなままだ。
「そうなんだ」
「ええ。ところでね」
彼女はちらりと恭輔の方を見てきた。しかし皆はそれに気付かない。
「よかったら。この学校のこと色々と教えて」
「ええ、勿論よ」
「これからずっと一緒なんだしね」
「そうよね」
美有ははじめて笑った。笑顔もとても奇麗でそれはクラスの皆を魅了するのに充分であった。しかしちらりと見られた恭輔はそうではなかったのだ。
彼も見られたことに気付いていた。それを妙だとも感じていた。
「何なんだろう」
そう思ったがこの時はそれで終わりだった。美有は皆に案内されて学校の見学に出たのであった。それはその日のうちに終わったが彼は一緒に行かずに特に何とも思わなかったのだ。
次の日。ホームルーム前に彼はクラスメイト達と話をしていた。
「あの転校生だけれどな」
「龍華さんのこと?」
「他に誰がいるんだよ」
クラスメイトの一人松前昭文はそう彼に言葉を返した。
「いないだろ?」
「まあそうだけれど」
「だろ?その龍華さんだよ」
昭文はまた言う。
「いいと思わないか?美人で」
「って御前彼女いるんじゃ」
恭輔は昭文に彼女がいることを知っていた。同じクラスの女の子だ。
「それはそれこれはこれだよ」
だが昭文はこう返すのだった。全然気にしていないのがわかる。
「だろ?」
「何かいい加減だなあ」
恭輔は彼の言葉を聞いてそう思った。実際にそれ
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