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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第29話 フェザーン到着
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を現地で収集・分析する駐在武官という任務は重大なものになる。帝国軍の侵攻を事前に察知することで効果的に戦力を運用し、迎撃することが出来る。もし誤った情報が流れれば……原作通り同盟は滅びる。

「そういうわけで大尉には、フェザーン側のチャンネルを閉ざすような短慮だけはしてもらいたくない。腹も立つことはいっぱいあるだろう。だがそこも戦場だと理解して慎重に行動して欲しい。パーティーだのゴルフだの誘惑はいっぱいある。役得だと思ってくれて構わないが、料理にも酒にも女性にも毒が含まれていることだけは忘れないでほしい」
「承知しました」
「特に君は将来を嘱望されている士官だ。それほど長い派遣にはならないだろうが、充分に気をつけて行ってきてくれ。余計な心配だとは思うがね」
 そういうとブロンズ准将は敬礼せず、俺に情報将校とは思えないゴツイ右手を差し出した。俺もその手をガッチリと握りしめた……


 それが三七日前の出来事。フェザーン船籍の旅客船に乗って、俺は今、フェザーンに到着した。

 宇宙港に到着し到着手続きロビーに向かうとすぐに宇宙港の警備員が俺の元に駆け寄ってくる。軍服を着ているから余計目立っているのは分かるが、あまりにも一直線に向かってくるので驚いた。が、特別者専用の軌道エレベーターに案内され、その場に待っているフェザーン側当局者と顔を合わせ、名前を聞いてさらに驚いた。

「ニコラス=ボルテックと申します。フェザーン自治政府対外交渉部に勤めております」
「ヴィクトール=ボロディン大尉です。在フェザーン同盟弁務官事務所つき駐在武官を拝命しました」
 今後ともよろしくお願いします、という儀礼的なお辞儀と敬礼の会話を終えると、個室内に入ってきた女性のアテンダントによって机の上に烏龍茶とチキンフライとポテトが次々と並べられていく。しかも香辛料の違いによって四種類も。

「……」
 これがフェザーンの流儀か、と俺はにこやかなボルテックと暖かいチキンを見比べた。その視線に気がついたのか、ボルテックは先にチキンの一つを手に取ると、俺に断ることなくかぶりついた。なんというか人のいい小役人が、時間に余裕が出来たので遅い昼食をとろうかといった風情だ。もっとも言いたいことは『毒は入ってませんよ』であろうけども。

「なかなか美味しいですよ、これ。いや、役得でした」
「そうですか?」
「これは帝国でもそれと知れた軍鶏でして。私の薄給ではとても口には出来ないんですよ。さ、どうぞ。遠慮なさらず」
 烏龍茶を飲みながら勧めるボルテックを見て、俺も一つ手にとって口に運ぶ。確かに旨い。脂も皮も香辛料も、同盟のスタンドで売っている物とは桁違いに……値段も桁違いだろうが。俺が別の香辛料のチキンを食べ終えると、再びアテンダントが現われ、俺とボルテックの前に冷た
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