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男の子は魔法使い
第五章

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第五章

「誰だと思いますか?」
「こんな人この学校にはいませんけれど」
「いえ、います」
 裕則はここでまた言った。
「いますから」
「そうなのですか?」
「はい」
 こうしてだった。ふとだ。その美人が消えた。急にだ。
「えっ・・・・・・」
「実はですね」
 目の前に裕則が来た。そうして告げるのだった。
「さっきのは鏡だったんですよ」
「鏡!?それじゃあ」
「言いましたよね。この学校にいる人だって」
「つまりは」
「三島さんですよ」
 その声が笑っていた。
「三島さん自身だったんですよ、あの人は」
「そうだったのですか」
「だから魔法をかけたって言いましたよね」
「それでこうして」
「そうです。実は僕メイクアップアーチストのアルバイトをしていまして」
 香里奈にもこのことを話す。
「そういうことです」
「そうなの。それでなの」
「どうですか?今の感覚は」
「嘘みたいです」
 こう答える他なかった。
「こんなことって」
「ですがほら、これ」
 ここでまた鏡を見せる裕則だった。
「何よりの証拠ですね」
「そうなりますけれど」
「三島さんは今まで自分を地味だとか思ってました?」
「はい」
 思っていたことをありのまま答える。
「そうですけれど」
「そういうのはすぐに変わるんですよ」 
 裕則はその言葉を笑顔にしていた。
「そういうことなんですよ」
「そうなんですか」
「それでなんですけれど」
 彼はここでさらに香里奈に話した。
「学校の後でなんですけれど」
「後で?」
「ちょっと一緒に行きませんか?」
 香里奈に今度言ってきた言葉はこれであった。
「一緒に。どうですか?」
「一緒にですか」
「どうですか、それは」
 軽い調子の言葉だがはっきりと告げていた。
「嫌ならいいですが」
「何処に行くんですか、それで」
 裕則の話術のせいだろうか。香里奈は話に乗った。そのうえで聞くのだった。
「放課後何処に」
「魔法をかける場所ですよ」
 声が悪戯っぽく笑っていた。勿論顔もである。
「そこにです」
「魔法をですか」
「そうです、そこにです」
 ここでもその笑みは変わらない。
「行きますか」
「わかりました」
 今回も頷く香里奈だった。
「それじゃあ放課後に」
「そういうことで」
 こうしてだった。香里奈は裕則の誘いに乗ってある場所に彼と共に向かった。そしてその場所とはだ。彼女がこれまで来たことのない場所だった。
「あの、ここは」
「こういう場所ははじめてですか」
「はい、そうです」
 こう裕則に答える。そこは有名なブティックだった。

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