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男の子は魔法使い
第三章
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第三章

「それは」
「それは?」
「女の人はすぐに変わりますよ」
 彼はにこりと笑って先生に話す。
「もうすぐにね」
「すぐにか」
「はい、すぐにですよ」
 また言う彼だった。
「変わりますから」
「じゃあ君が変えられるかい?」
「勿論ですよ」
 裕則は先生の問いに笑って返す。
「もうすぐに」
「まさかとは思うが」
「じゃあやって御覧に入れますけれど」
「そういうところも相変わらずだな」
 ここで少し呆れた顔になる先生だった。
「本当に。すぐ調子に乗って大きなことを言う」
「夢は大きくじゃないですか」
「君のはホラだよ」
「嘘じゃないからいいじゃないですか」
「ホラはホラでよくないんだがな」
「けれど今回はホラじゃないですよ」
 ここでだった。裕則はこうも言ってみせたのだった。
「実際あの人凄い原石ですよ」
「凄いのかい?」
「あんな原石は滅多にいませんよ」
 言葉は真剣なものになっていた。
「いや、本当に」
「そうかね。私はそうは思わないが」
「それもわかりますよ。それでお名前は」
「三島さんだよ。三島香里奈さん」
「三島さんですね。わかりました」
「それで本当に凄いのかい?三島さんは」
 先生は職員室に彼を案内して入れながらだ。彼に問い続けていた。
「あの人は」
「凄いですよ。まあすぐにわかりますよ」
「すぐにかい」
「あの人クラスになると本当にちょっとで凄い変わりますね」
 ここでも真顔で話す裕則だった。
「さて、それじゃあですね」
「まあそれもいいがね」
 先生の話がふと変わった。
「いいかな」
「はい、何でしょうか」
「職員室に入ったし教育実習の話をしようか」
 そちらにだというのである。
「それでいいかな」
「わかりました。それじゃあですね」
「うん、まず君の受け持ちは二年生でね」
「二年生ですか」
 そこから話してだった。彼の教育実習生としての生活がはじまった。彼はそれはそつなくこなしていた。一日目であるがそれでも見事なものだった。
 しかしである。二日目でだ。彼はすぐに香里奈のところに来てだ。いきなり声をかけたのである。
「三島さんですよね」
「はい?」
「ちょっといいですか?」
 明るい声で彼女に話す。
「目をつぶって欲しいんですけれど」
「目をですか」
「はい、目をです」
 笑顔も明るい。それで彼女にさらに話すのだった。
「つぶって欲しいんですけれど」
「どうしてですか?」
「実は僕魔法使いなんですよ」 
 香里奈に笑って述べる。
「ですから魔法をかけたいと思いまして」
「魔法を?」
「はい、魔法をです」
 笑ってまた述べた。
「すぐに済みますから」
「すぐにですか」
「はい、すぐにです」

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