第135話 美羽との再会
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「麗羽、美羽はお前との久しぶりの再会に感激して疲れたのだろう」
美羽を心配そうに見つめていた正宗は美羽を両手で抱き上げ、彼女をお姫様抱っこ状態で運びながら騎乗した。その様子を麗羽は羨ましそうに指を加え正宗と美羽のことを見つめていた。
「明命、案内を頼めるか?」
「あっ! はい」
明命は麗羽の美羽への抱擁を引きつった表情で傍観していたが、正宗の言葉で我に返ると正宗達を宛城に案内するために自分の馬をとりに行った。その後ろを亜莎が慌てて追いかけた。
現在、正宗達は明命と亜莎の先導で宛城の内部に入った。城門を抜けると人の活気に満ちた城下を目の当たりにした。人の海でごったがえしていたが、事前に城兵達が正宗達の進行を妨げないように交通誘導を行なっていた。
城兵に誘導され進む正宗達と三千の兵達は宛の民の興味の視線に晒されていた。特に南陽郡大守・美羽と一緒に騎乗している正宗に視線が一番集中していた。視線を向ける者の中にはコソコソと何やら会話をしている者もいた。
「ううん」
美羽は意識を取り戻したのか虚ろな目を開いた。未だ完全に覚醒しきっていないのだろう。
「美羽、大丈夫か?」
美羽はゆっくりと周囲を見回し、最後に自分の頭の上を見上げた。
「兄様っ!」
美羽は驚いた表情で正宗を見た。
「意識が飛んでいたようだな。美羽、麗羽のことを悪く思わないでやってくれ。美羽に会うことができて嬉しかったんだと思う」
正宗は周りの者に聞こえないように小さな声で美羽に言った。
「兄様が気に病まれることではないです。別に気にしていません。はははは」
美羽は違和感のある乾いた笑みを表情に浮かべていた。正宗は美羽に罪悪感を覚えたのか、美羽の頭を撫でながら考え込み出した。正宗が視線を空に向けると青空の真上に太陽が上っていた。正宗はそれを見て何か思いついたような表情に変わった。
「美羽、調度昼餉の時間だな。私と美羽の二人だけで昼餉でも食べに行こうか?」
「兄様、本当ですか!?」
美羽は正宗を元気一杯の期待に満ちた表情で見上げた。正宗が優しい表情で頷くと美羽は凄く嬉しそうな笑みを浮かべた。
「美羽、行きつけの酒家などはあるのか?」
「あります! 高級な店ではありませんが、味は確かな酒家があります。妾もよく明命と亜莎と一緒に行っています」
「そうか。それは楽しみだな。一度、荷物を置いたら一緒に行こうな」
「はい」
美羽は麗羽に窒息させられそうになったことなど忘れているようだった。
「姉様、兄様と久しぶりにお会いしたので一緒に昼餉をとりたいと思うのです」
「ええ、よろしくてよ。私は冥琳さんと宛の街の賑わいを見物したいと思ってましたから」
麗羽は美羽
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