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乱世の確率事象改変
相似なる赤と蒼は
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えるその発言は、狂信と言う名の猛毒だろうに。

「……乱世に華を、って感じだね」
「ははっ、なら私は華琳様の身体か。徐晃隊は声に出して証を示していたが、内に想いを秘めるのも良いモノだと思うがな。
 しかし……私が死ぬだと? バカを言うな」

 殺気が膨れ上がった。夏候惇のように荒ぶる奔流では無く、揺らめきながらも底が見えない河のような静かで深い威圧感。
 
「私は死なんよ。四肢を矢で貫かれた貴様が、華琳様の前で跪いて忠誠を誓うだけだ」

 自信満々に言い放った。夕の事を知っているから、同じく手に入れると宣言しているわけだ。
 桂花と鳳統が夕に勝てると思ってるらしい。外部でこそこそ動き回ってるようだけど、夕はそれさえ読み込み済み。何の為に七乃を幽州に置いたと思ってるのさ。
 お前達はこっちが描く戦に乗せられている。曹操の不在も、幽州の動きも、皆あの子が見極めてる。あたしはただ従うだけでいい。

「ひひっ……あははははっ! あんなぺったんこに従うなんてお断りだね。
 むしろあんた達が跪いたらいいよ。あー、ぺったんこだと胸が邪魔にならないから地べたに頭こすり付けるのも楽そうでいいじゃん? ふふっ、そうだねー、勝った暁にはぺったんこに際どい服着せて胸の残念さを街々に知らしめてやるってのはどうかな? ほら、王としても負けましたがそれより先に女として負けてますーってね♪」

 目を細めた夏侯淵の喉が鳴る。あれは怒ってる奴の笑い方だ。
 夏候惇もそうだけど、この姉妹は怒らせたら力が上がるらしい。妹は別かなと思っていたが……今はそれが知れただけでも収穫か。

「貫く矢の本数を倍にしてやろう。閨で鳴いて詫びるのは当然お前だろうがな」
「やん♪ まだ昼間なんだからそんな話やめてよねー。ふしだらは禁止ー」

 すっ呆けてべーっと舌を出してやった。ふりふりと腰も振ってみた。出来るだけ軽く見えるように。
 ため息を吐いた夏侯淵の空気が緩んだ……ように見えて全く緩まない。

――隙を作っても乗って来ないのは時間稼ぎ、か。楽進と于禁への信頼は高いなら……まーたあたしは時間制限付きってわけだ。

 悲鳴と怒号が聞こえた。張コウ隊と夏侯淵隊がぶつかったんだろう。
 目を細めた夏侯淵はあたしを見ているようで全体を見ている。弓が主体なだけに視野が広い。

「何処かお前の緩さはあいつに似ている気がするな」
「……秋兄の事?」

 親しみが見えたからカマ掛けしてみるも、答えてはくれない。その眼に浮かんだ鋭さの中身が読み取れなくなった。
 警戒も猜疑も疑念も含んだソレを抑え込む彼女は、やはり関靖と違って厄介だ。

「……磔にする理由が増えた。
 そろそろやろうか、なぁ? 張コウよ」

 瞳は歓喜が多大に含まれた色なのに、あ
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