暁 〜小説投稿サイト〜
男の子は魔法使い
第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第二章

「これです」
「それを使うのかい?」
「そうです。これを全て使ってです」
「うん」
「それでどんな女の人も即座にです」
「美人にするんだね」
「あれですよ。女の人は皆原石ですよ」
 ここでだった。裕則の顔が真面目なものになった。
「皆ですよ」
「皆かい」
「はい、ダイアかアメジストかはそれぞれですが」
 その原石の話もするのだった。
「ですが誰もが原石です」
「誰もがね」
「そしてです」
 彼はさらに話す。
「その原石を宝石にするのが僕なんです」
「何か教師よりそっちの方が向いてそうな話だね」
「そうかも知れませんね。ですが教員免許は手に入れておきたいので」
「現金だね」
「そうですかね。これ位普通ですよ」
「相変わらず口は減らないな」
 先生はそんな彼の話を聞いてだ。思わず苦笑いになった。
「君の担任をしていて大変だったよ」
「それはまたどうも」
「どうもじゃないよ。しかしメイクアップアーチストね」
「はい」
「また面白い仕事だね」
「先生もどうですか?」
 彼は軽い表情になって先生に対して言った。
「男の人も受け持っていますけれど」
「ああ、それはいいよ」
 先生は右手を横に振ってそれはいいとした。
「別にね。いいよ」
「いいんですか」
「そうだよ、それはいいよ」
 そしてまた言うのだった。
「それで髪の毛が増えるわけでもないしね」
「ああ、髪の毛はですね」
「髪の毛は?」
「頭の洗い方一つで変わりますよ」
 こう話すのだった。
「最初熱いお湯で脂と汚れを洗い落としてそれからマッサージするみたいに洗って最後には冷たい水で頭皮を引き締めるんですよ」
「それで変わるのかい」
「変わります。あとじっくりと拭いて濡らさせないこと」
「成程ね」
「先生位の髪だとそれで随分と変わりますよ」
「そうか。じゃあやってみるよ」
「はい」
 裕則はその先生に笑顔で述べた。そしてであった。
 職員室に入る時にだ。香里奈と擦れ違ったのだった。
「おや?」
「どうしたんだい?」
「さっきの人は」
「ああ、三島さんだね」
 先生は裕則に彼女の名前を教えた。
「事務員のね」
「僕が学校にいた時はいなかったですね」
「この学校に来て三年かな」
「三年ですか」
「それ位になるね」
 こう裕則に話す。
「もうね」
「そうですか」
「いや、三年もいても」
「三年いても?」
「全然目立たない人なんだよ」
 この先生も彼女をこう見ているのだった。
「どうにもこうにもね」
「全然なんですか」
「外見が地味だからね」
「ああ、外見がですか」
「そう思うだろ?君も」
「いえ、どうですかね」
 しかしここで、であった。裕則は首を傾げさせてこう
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ