第三章
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長身の痩?が生徒たちの中から出てきた。
「元会計、シロジロ・ベルトーニだ。挨拶を受けよう。既に全生徒の暫定代表権は同意を得ている。私達の相対で武蔵の方向性を決めていいと――」
言いながら、シロジロが葵・トーリを引きずって連れてきた。
まだ、満足に制服を着込んでいないトーリは後ろ向きに引きずられていることで不規則なステップを踏んでいた。
「ちょ、シロ! まだ帯締めてねぇ! 最初から脱げてたらつまんねだろうが!」
「しるか。馬鹿。トーリ、金のためには一応は貴様が必要なんだ。少しは役に立て不可能男《インポッシブル》。貴様が権限を奪われていなければトップダウンで全て一律決定できるのに、今はそれが出来ないから面倒な段階を踏まねばならん。――あまりにも金のムダだろうが」
「あれ? 兄ちゃんそっち側かよ!?」
……今更だ。それに相変わらずだな。
正純は兄弟で敵対する事を想う。
私のせいだろうか。
いや、葵・ユーキには何らかの考えがある。
「おう。トーリ。俺は正純の補佐役で敵だ」
「うん、解りやすいな、兄ちゃん。あれ? シロなんで兄ちゃん敵になってんの?」
「私が知るか」
う〜んと頭を傾げる葵・トーリを全員が無視することに決めた。
「臨時生徒総会の議題は、私の不信任決議を通して、教導院側の姿勢を決めることで間違いないな?」
「そうだ。だから、そちらは聖連側、こちらは武蔵側ということだ」
「シロジロ。わかってるのか? 馬鹿《トーリ》にも解りやすい言えば、ここでの結果が人々の今後を左右するぞ。聖連に楯突く余地があると思ってるのか?」
シロジロに問いかける葵・ユーキ。
彼の言う通り、教導院が国を統括するので、総長連合と生徒会の決定は絶対だ。
国家間トラブルはこの二つの機関に属する学生が担当する。
この相対で決定した事は国の決定と同意義だ。
「二十年以上昔に酒井学長はK.P.A.Italia及び旧派《カトリック》が武蔵に旧派を浸透させようとするのを防いだことがある。当時の三河総長だった酒井学長を始めとする三河総長連合が武蔵総長の権限を預かった戦いだった――」
シロジロの言葉を正純が続けた。
「結果として、三河はK.P.A.Italiaと旧派の教譜的侵行《しんこう》を防ぎきったが、しかしそのようなことは自由にできないよう、校則法の改正なども行われた。今は当時とは違う。聖連を相手に抗い、勝利できるとは考えない方がいい」
そして、シロジロは一度頷いて続ける。
「だったら今のやり方でどうなるのか、逆らえるのか逆らえないのか。それを知るのがこの臨時生徒総会だ」
……成程な。今と昔を比べるまでもなく、今は今のやり方で挑むか。
「ちょっと良いか。相対の人数は三人で良いだろ
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