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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方2
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聞こえる。それを振り払うだけの気力がない。
≪オマエはさっき自分の事を■■と言った。もう、分かっているはずだ≫
 適当に服を脱ぎ散らかし、明かりもつけずにシャワールームへと踏み入れる。冷たい空気が火傷の跡を無遠慮に撫でていく。水のままのシャワーを頭から被り、ニミュエの声をかき消す。……かき消そうとした。
≪もういいだろう? もう充分じゃないか。オマエが壊れてしまう前に、全てを忘れてやり直せばいい。心配しなくても後始末は私達がしてやる≫
 その声は、やはり酷く優しかった。唆すのではなく言い聞かせるように――あやすような優しい声。それが、彼女の精いっぱいの優しさなのだと。そんな事は分かっていた。
 だからこそ、耐えられない。
「やめて……。もう、やめてよ……」
 生温い水ではなく、もっと熱い何かが頬を伝う。両耳を必死に押さえつける。
「お願いだから。これ以上、私を惑わせないで!」
 もういいでしょ?――私は母さんの娘で、母さんはジュエルシードを望んでいて、私がジュエルシードを集めなければならない。それだけのことだ。もう、それだけでいい。今までもずっとそうだった。母さんのために必死で魔法の勉強をしてきた。母さんのために必死でジュエルシードを集めてきた。それは、きっとこれからも変わらない。
 リニスも。アルフも。光も。あの白い子も。
 私に優しくしてくた人が、誰もいなくなったとしても。私は母さんの娘なのだから。
(だから、もうこれ以上私を惑わせないで)
 姿の見えないニミュエに、祈るように懇願する。と、そこで、
「フェイト」
 浴室の扉が開く。入ってきたのは、母さんだった。
「えっと、あの、その……!」
 急な事で、何も思いつかない。慌てて目元をこする。だが、そもそもシャワーを浴びているのに、そんな事をしても意味などないはずだ。
「傷は大丈夫かしら?」
 母さんの優しい声。混乱が、ただでさえ不安定だった私をかき乱す。
「巻き込んでしまってごめんなさいね。あんな大魔法を使うのは随分と久しぶりだったから……」
 母さんの手が私に触れる。熱のような感触――だが、それは治癒魔法だった。火傷の痕が消えていく。優しい手。ずっと焦がれていたぬくもり。それがいま、そこにある。
「……そう。光君っていうのね」
 母さんに抱かれたまま、浴槽に浸かる。慌ててお湯を張ったため、ほとんどお湯などないが、それでも暖かい。のぼせたように――母さんが求めるままにこれまでの出来事を……光の話をしていた。そして、あの白い子の事も。
「あの白い子は彼の妹さんなの」
 結局、あの子にはまだ名乗っていない。あの子からも直接名前を聞いていない。今さらになってそんな事に気付いた。けれど、
「兄妹同士で戦わせるなんて、管理局は相変わらず酷い事をするわね」
 母
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