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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方2
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と結びついて魔物となったらしい。
「だからと言って、その女の罪が消える訳ではない」
 もちろん、それはそうだろう。だが、どうか命までは奪わないでほしい――それが、サンクチュアリからの依頼であり、ひいてはその十数年間彼女の生存を信じて探し続けた家族の願いだ。それに応じて自分はこの場に赴き、今の選択に繋がっている。
 とはいえ、それで目の前の魔女を説得できたら苦労はない。
「……生贄にすればいい」
 元魔物の女を活かしておく利点。それは、彼女を使役していた組織の情報が得られる事だ。蜥蜴の尻尾など何本始末しても意味がない。その裏でほくそ笑んでいる頭を潰す。その為には彼女の持つ情報は有益だ――そう言った説明に対する魔女の返答がそれだった。
 彼女の反応は思った以上の好感触だと言えた。説得までもう一歩と言ったところか。
「その女が口を割るとでも?」
 生贄による記憶の回収は必ずしも成功する訳ではない。それに、回収できたとしても不鮮明である事が多い。鮮明に受け継いでしまえば今度は記憶の混濁……最悪は人格の融合、崩壊が待つ。それなら、まずはサンクチュアリに引き渡してからでも遅くはない。
 どうせ彼女の罪状から考えれば、サンクチュアリの庇護下から外れ罪を問われる事になれば、極刑は避けられないのだ。まして彼女は元魔物である。その処刑方法として生贄が選択されたとしてもそれほど大きな問題にはならない。
「……いいだろう。だが、私も同行させてもらう」
 不機嫌そうに――それでも、その魔女はこちらの意見を受け入れた。旧世界のアヴァロンとサンクチュアリは血で血を洗う抗争を繰り広げた訳だが……新世界のアヴァロンは元々サンクチュアリの魔法使いが復興させたものである。拠点まで連れていったところで、いきなり殺し合いになる事はない。諸手を挙げての大歓迎にもならないが。
 やれやれ、道中が華やかになったと喜ぶべきか。それとも、針の筵が酷くなったと嘆くべきか。正直なところ、判断がつきかねた。
 それから、その魔女との一連の旅は意外と長く続いた。……いや、予想に反して短かったというべきか。その元魔物の女は素直に情報を提供し、サンクチュアリの修道士として永く続く贖罪の道を選んだ。そして、自分達は彼女の情報を元に人買いの組織を一つ壊滅させる事になる。それに一通りの区切りがつくまでの半年ほど、彼女とは共に旅をする事になった訳だ。その過程でその魔女の過去を知る事になり……それが縁となって、旅を終えてからも彼女との関係は……それも少々爛れた関係が続く事になる。
 この時点で『あの日』から三百年ほど経過していたはずだが――今思い返せば、彼女たちと過ごした日々は自分が最も人間らしく生きていた時代の一つだろう。




『生きたままゆっくりじっくり皮を剥がされた挙句塩漬けにされ
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