第十三章 聖国の世界扉
第六話 償えない罪
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たら、差し出された赤子は生きていたかもしれない、手を伸ばしてきた少女の手を取っていれば助けられたかもしれない、耳を塞がなかったなら助けられたかもしれない命があったかもしれない……その全てを、俺は見殺しにした」
「そんなのは、『たら、れば』の話じゃないか」
「だからと言って納得は出来ない。だから―――俺は誓った」
『無価値にはしない』―――あの地獄で唯一人生き残ってしまった者として、俺は価値を示さなければならない。
あの地獄で死んでいった者たちが、ただ無為に死んだということは、絶対にあってはならないから。
俺が―――それを証明しなければならない。
その手段を―――それを形にしてくれたのが―――切嗣だった。
“正義の味方”―――切嗣が目指し、諦めたそれに、俺はなると誓った。
“全てを救う”―――そんな“正義の味方”になると。
それは―――あれから二十年近く経った今でも変わりはしない……ただ―――。
「……まさか、君が“正義の味方”を目指しているというのは―――」
「それも、理由の一つですね」
閉じていた視界が開き、魔法の明かりの淡い光に目が微かに眩む。
ゆらりと揺れた視界の中に、今は遠い人たちの姿が一瞬見えた気がした。
そう、“正義の味方”を目指す理由は今も変わらない―――ただ、増えただけだ―――理由が。
あれから色々あった、出会い―――別れ―――戦い―――殺し―――救い―――救われ―――本当に、色々あった。
知らず、口の端が緩まっていた。それを片手で隠し、チラリとコルベールの様子を窺う士郎。コルベールは士郎の様子に気付かず、何やら頭痛を耐えるかのように顔を片手で覆い小さく頭を降っていた。
「……君は―――っ、やっぱり納得できん。その災害とやらは君のせいではない。なら、君に罪はなく、責任を感じることもない筈だ」
顔から手を離したコルベールは、真剣な顔で士郎に訴える。その言葉は真に正しく、間違ってはいない。だからこそ、士郎はそれに対し返事をする。用意していた言葉でもって。
「―――それを言うのなら、コルベール先生も同じでは?」
―――それをあなたが言うのか、と。
「っ」
「あなたが村を焼いたのは、命令にあった通り病気の感染を防ぐため。非道と十分に理解しながら、それでも多くを救うため、その手を血に染めた。知らなかったですまない話だとあなたは言うだろうが、特殊な部隊の隊長だったとはいえ、一介の兵士でしかなかったあなたに、下った命令が偽物とその場で気付く事はほぼ不可能だ」
息を呑むコルベールに、士郎は伝える。同じだと―――士郎に罪がないと言うのなら、それはあなたも同じであると。
「なら
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