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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第六話 償えない罪
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ガクリと落とした顔をズルリとズラし士郎を見上げた。暗闇の中、何処へ進めば良いのかさえわからず途方にくれた、縋るような眼差しで。

「……なぁ、シロウくん……教えてくれないかね……罪を償う機会を失った者は、どうやって罪を償えば良いんだろうか?」
「それは―――」

 触れれば折れそうな姿を見せるコルベールの姿に、士郎は直ぐに応える事が出来なかった。この問いへの答えは、優しい言葉か、又は肯定的な言葉を伝えるのが一般的だろう。だが、士郎は逡巡するかのように一瞬言葉に詰まらせ―――そして、厳しく顔を引き締め、素直に自身の思いを伝えた。
 それは―――

「……償うことは―――できない」

 否定―――だった。

「シロウ、くん?」

 何処か期待していたものとは違った言葉に、コルベールは目を開き呆けたような声を上げた。
 士郎は目を瞑ると、深呼吸するかのように深く大きく、しかし静かに深呼吸すると、目を開くと同時に口を開き―――伝えた。 

「俺にも―――ある」

 己の罪を。

「―――“罪”が」

 自ら望んだ己を縛る呪いのような罪。ここではない何処か遠いナニカを見つめる士郎の目が細まり、顔から表情が抜け落ちていく。

「君が? 一体どんな?」

 士郎の言葉に半信半疑の様子を見せるコルベールに、士郎は応えた。己の罪が何なのかを。

「……生き残ってしまった」

 ―――たった一人生き残ってしまった罪を。

「何が……あったんだね」

 コルベールの問いに、士郎は目を閉じる。瞼の裏に見えるのは、無限の闇か―――それとも、赤い炎か―――。

「……大きな……とても大きな災害だった。炎が、人も、家も、街も……全てを燃やし尽くした……」
「災害、なんて……そんなもの、どうにもならないじゃないか。シロウくんに何の責任も、罪も無いは―――」
「―――見殺しにした」

 コルベールの慰めの言葉を、士郎の一言が切り捨てた。
 それは―――何度となく言われた言葉。
 わかっている―――理解している―――だが、納得はできない。

 瞼の裏に浮かび上がるのは、黒いナニカを差し出す女の姿。

 目を閉じれば直ぐにでも思い出せる―――あの地獄の風景。
  
「『この子だけでも』と黒い塊を差し出してきた母親の手を振り払い、『たすけて』と手を伸ばす少女から目を逸らし、『苦しい』と泣く声から耳を塞ぎ……何もかも無くして、ただ生き残った……俺だけが、生き残って、しまった」

 生き残ったのはただ一人自分だけ。怨嗟の声を、悲鳴を、懇願を、助けを求める声を―――全て振り払い、ただ、ただ、生き残ろうとした。
 だから、あの地獄の唯一の生き残りとして……俺には“義務()”がある。

「もしかし
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