第十三章 聖国の世界扉
第六話 償えない罪
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ていた。
用意された豪華とは言えないが、清潔に整えられた部屋のベッドの上で、士郎は二つの月を窓越しに見ながらロマリアに入国してからの出来事を思い返しており、今は大晩餐室から出た時の事を思い出していた。
ヴィットーリオとジュリオが去った後の大晩餐室では、食後のお茶を各自が飲みながら、教皇の話の内容をそれぞれが自分の中で消化することに終始していた。そのまま、給仕係が皿を回収に部屋に入ってきたのに合わせ、大晩餐室を士郎たちは出たのだが、そこには先に食事を終えてルイズ達を待つセイバーたちの姿があった。
しかし、士郎はその中にコルベールの姿がないことに直ぐに気がついた。
話を聞いてみたところ、どうやらセイバーたちが食事を終える頃に、一人の神官から呼び出され何処かへと連れて行かれたらしい。理由は聞いてはいないが、直ぐに戻るとの事から、士郎たちは訝しく思いながらも大人しくその場で待つ事にした。結果として長い闡メたされる事はなく。三十分も経たないうちにコルベールは戻って来たのだが、素人目でも気落ちしている様がわかる程憔悴していた。ルイズたちからの何処へ行っていたか、誰と会っていたのか等の質問をはぐらかしながら、コルベールは何か思い悩むような表情を浮かべていた。
「……そろそろ寝るとするか」
色々と考えていると、段々と眠気が無視できなくなってきたのか、士郎は欠伸を噛み殺しながら部屋の明かりを消そうとした。その時、コンコンとドアをノックする音が部屋に響いた。ドアをノックする音に、士郎は軽く身だしなみをチェックすると、ドアへ向かって入室の許可を出す。
「どうぞ」
「……夜遅くすまないね」
ドアを開けて入ってきたのは、噂をすれば何とやらか、コルベールであった。部屋に入ってきたコルベールは、部
屋の真ん中に置かれた小さな二人用のテーブルに促された。椅子に腰掛けたコルベールは、所在無さげにぐるりと部屋を見回し、乱れたベッドで視線を止めた。
「もしかして、起こしてしまったかい?」
「いえ、大丈夫です」
コルベールと話をしながら紅茶を入れ終えた士郎は、テーブルの上に二つ紅茶入りのカップを音もなく置くと、コルベールの向かいの椅子に腰を下ろした。
「何か入れますか?」
「いえ、結構。うん、いい香りだ」
「………………」
「………………」
一口紅茶を飲み、カチャリとティーカップをソーサーに戻したコルベールは、テーブルの上に右肘を乗せると、その手で額に手を当て眉間に皺を寄せた。そのままじっと黙り込むコルベール。一分、二分と時間が経ち、最初の一口だけで後は口を付けていないカップから湯気が出なくなる頃、ようやくコルベールが口を開いた。
「……少し、話をしても良いかい?」
「ええ」
「……シロウくんは、そ
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