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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第六話 償えない罪
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「―――さてと、どうするか」

 用事があると、ルイズたちを残してヴィットーリオとジュリオが去った大晩餐室の中で、士郎は椅子に深く座りなおすと背もたれに寄りかかりながらため息をついた。ギシリと軋む音を立てるも、オーク材で出来た椅子の背もたれは士郎の体重をしっかりと受け止める。閉じた目で天井を仰ぎ見ながら己の思考に没頭する士郎。
 そんな士郎を見つめる者たちがいた。
 視線は四つ、つまり、大晩餐室にいる士郎を除く全員である。四つの視線に含まれるは、それぞれ違った感情を主とする複雑な思い。
 疑念、戸惑い、困惑、憂い……。
 その中の一人であるルイズが、不安気に揺れる瞳で見上げ士郎の服の裾を摘み、きゅっ、と自分の方へと引っ張った。

「ん、どうかしたかルイズ?」
「……その、さっ―――ううん……何でもない……」

 何かを言おうと口を開いたルイズだったが、喉の奥がつっかえたかのように口を閉じると、軽く顔を横に振り力なく肩を落とした。『何でもない』と言いながら、全く『何でもなくない』様子を見せるルイズの頭に、士郎は手を置くと、そのまま『ぐしゃり』とわざと髪を乱すような形で乱暴に一撫でした。

「―――っ?! ちょ、な、何よ!?」
「まあ、あまり気にするな。状況も情報も少ない現状では、どれだけ考えても禄な答えはでないものだ。なら、まず

は一旦落ち着いて、目の前の問題から片付けなければな。とは言え、その『目の前』の問題とやらも、また随分と厄介な代物だが」

 肩を竦めて苦笑を浮かべる士郎を、ルイズは睨み付けた。

「わ、わかってるわよ……そんな事……でも、仕方がないじゃない……」

 キッ、と睨みつけたはいいが、何時もの強気な姿を見せる事なくルイズは弱々しく視線を落とした。そして、すがるように士郎に手を握り締める。
 その手は―――微かに震えていた。

「さっき、聖下が言ってたの……あれって―――」
「―――“聖戦”については心配するな」
「―――無限の剣が突き刺さった荒野、あれって―――て、え?」
「ん?」

 下を向いていたルイズが顔を上げ、士郎と視線が交わる。互いの目に浮かんでいるのは困惑。何かが噛み合っていない。
 互いに首を傾げていると、士郎が口を開きポツリと呟いた。

「……ルイズが気にしているのは“聖戦”についての事じゃないのか?」
「え? あ? ああっ!? そ、そそ、そう、そうねっ。そうよ。“聖戦”、“聖戦”よっ!? そうそう、気になってたのよ、シロウは一体どうするんだろうってッ!? で、でも、そうね。シロウの言うとおり、ゆっくり考えないと、うんうんそうね、そうよ」

 腕を組み激しく頭を上下させうんうんと頷くルイズ。それを訝しそうに見ていた士郎だったが、不思議そうに首を一度傾げ
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