第三章
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言葉遣いは丁寧なままだ。まるで年上に対する様に。実際は二人は同じ歳である。神名は内心そのことも気になっていた。
だがそれについても言わずだ。やはり彼の言葉をそのまま聞くのであった。
「それで」
「それで?」
「ボートはいつもお一人で漕がれてたんですか?」
「漕ぐのは僕でした」
実際にそうだったというのである。
「そして」
「そしてですね」
「見てもらってまして」
彼はその名前は何故かここでは出さなかった。だがそれでもだ。神名にとってはそれで充分だった。それだけですぐにわかる、そして充分なものであった。
「それでいつもここにいました」
「思い出の場所でもあるんですね」
「はい、そうです」
正大はここでも上機嫌にだ。話すのだった。
「本当にここはとても」
「そうなのですね」
「いい場所です」
思い出を振り返っていた。過去をだ。
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