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第四章
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りの出費だ。クレープ一個で木村屋のパンが二個か三個は買えるからだ。これは非常に大きい。
「だから罰なのよ」
 真里はそう言う。
「わかったわね、それで」
「ちぇっ」
「返事はちぇっ、じゃないでしょ」
「わかったよ。これでいいよな」
「そういうこと。じゃあ行きましょう」
 そしてようやく話の本題に戻った。
「スポーツ用品店にね」
「ああ」
 こうしてやっとスポーツ用品店にあった。品物自体は本当にあってすみやかに手に入ったのであった。これは二人にとっては意外であった。
「何かまたあっさりと」
 浩二はそう言って買ったミットを見ていた。用品店から出て百貨店の中を歩きながら話をしている。
「買えたな」
「本当にあるなんて思わなかったよね」
「ああ、左のミットか」
 それを実際に手にはめてみる。
「感触自体は変わらないな」
「そうなの」
「ああ。御前キャッチャーだけどどうだ」
 真里に顔を向けて尋ねる。
「使ってみるか?」
「ああ、駄目駄目」
 だが真里はそれを断る。
「あたし右利きよ。使えないわ」
「俺投げるの左利きだけれど」
「じゃああんた用ね。それだと」
「けれど俺キャッチャーだしな」
 そう呟く。
「ミットはな」
「けれどさ。使えることは使えるのよね」
「ああ」
「だったらいいじゃない。それじゃあ今日はさ」
「時間もあるし遊ぶか」
「そういうこと。ゲームコーナー行きましょ」
 待ちに待ったお楽しみである。
「UFOキャッチャー好きなんだ、あたし」
「意外と普通の趣味で」
「何よ、おかしい?」
 勘に触る言葉だったのでむっとした顔を向ける。
「あたしがUFOキャッチャーやるのが」
「いや、別に。けれど俺もやるしな」
「ふうん、そうなんだ」
「何なら勝負するか?どっちが沢山手に入れられるか」
「面白いわね。それじゃあ」
「ああ、勝負だ。こっちも負けないからな」
「それはこっちの台詞よ」
 真里も負けてはいない。
「見ていらっしゃい、絶対に負けないから」
「じゃあ勝った方がパンか」
「あたしは今日はクリームパン」
「じゃあ俺はカレーパンだ」
 賭けるものも決まった。こうして二人はまた勝負をはじめた。


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