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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第27話 雨宿り その1
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り。そして次の任地はフェザーン。戦いはある。敵もいる。だが砲火はない。

「せっかく帰ってきたのに、僕さびしいよ」
「そう言ってくれる家族がいる俺は恵まれているな。なにしろ我が家には美人が揃っている」
 俺の言葉に、アントニナはプライスレスな笑顔で応えてくれたのだった。

 家で待っていてくれたのは、やはりレーナ叔母さんとラリサだった。例によってイロナはグリーンヒル宅へ行ってまだもどってきていないらしい。これはもう完全に避けられていると考えていいだろう。六歳になったラリサは、今度は帝国公用語にも興味を持ち始めたらしく、俺が手を挙げると『Ja, willkommen!!』と敬礼して応えてくれた……今夜は帝国公用語の集中砲火を浴びることになると察して、俺の顔は引き攣った。

「せっかく帰ってきたというのに、グレゴリーが訓練で出動なんて……ついてないわ」
 夕飯を終えて、台所で一緒に後片付けをしていると、レーナ叔母さんは溜息混じりに呟いた。
「ケリムではお手柄だったと、グレゴリーは言っていたわよ。でも次はフェザーンなんて……」
「仕方ありません。命令に従うのが軍人ですから」
 ボルシチの入っていた椀を洗いつつ、俺はそう応えるしかない。ケリムでは完全にすれ違いだった。意識してグレゴリー叔父もイジェクオン星系に寄ろうとはしなかったようだ。わざわざ不便なネプティス星系に艦隊を停泊させていたのだから……
「大尉に昇進することになりました。お祝いはフェザーンから帰ってきてからでもいいですよ」
「そうね。フェザーンは戦場じゃないんだから、大丈夫よね」
 レーナ叔母さんの顔は笑いと悲しみの中間といって良かった。心配してくれる家族の存在。俺には本当にもったいないのかもしれない。

「……イロナは大丈夫よ。別に貴方に含むところがあるワケじゃないの」
 洗い物が一段落し、三姉妹が眠りの園へと撤退していった後、リビングで叔母さんはそう俺に言った。
「アントニナとラリサを強く意識しすぎているのよ。アントニナは貴方に遠慮なく近づくし、ラリサはこういうと親馬鹿かもしれないけれど本当に頭がいいの。わかるでしょ?」
 目の前に並ぶウォッカの影響ではなく、俺もレーナ叔母さんの意見と全く同じだった。
「イロナは努力家で、何事にも真面目に取り組むわ。でも運動神経や積極性ではアントニナには敵わないし、頭の良さでは年下のラリサに追いつかれそうになっている。焦りがどうしても内に籠ってしまう。いい子だから口には出さないし、家ではいつも大人しくしているわ。貴方が来たときにだけそれを外にぶつけて、貴方に甘えているのよ」
「……イロナとはそのことは?」
「一度だけ話したわ。イロナも分かっているのよ。でも……」

 そう言うとレーナ叔母さんは一度だけウォッカに口をつけ
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